暗記用画像スライダー(真ん中の線を左右に動かせます)
大腿動脈と大腿深動脈
<浅層:大腿動脈と大腿神経>
こちらは大腿前側部、血管裂孔を通過した大腿動脈の様子です。
血管裂孔は鼠径靭帯のほぼ中央。脈を触れることができます。血管裂孔の位置がわかれば、そこから上前腸骨棘に向かってやや外上方が筋裂孔です。腸腰筋と大腿神経が通過する部位です。腰椎の前弯が強いタイプの「反り腰」型腰痛では、腸腰筋のリリースが大切です。股関節と膝関節を屈曲させた状態で保持し、優しく柔らかく押圧してあげるといいと思います。
これは、解剖から見た手技のほんの一例ですが、解剖をしっかりと理解することが臨床力に直結すると考えています。ぜひ、国試対策を入り口として、その先の活きた解剖学を勉強してもらえると嬉しいです。
さて、戻ります。血管裂孔を通過した大腿動脈は大腿三角部にでてきます。
解剖学で「・・・三角」とでてきたら、三辺をかならず覚えてください。
大腿三角のゴロ
「三角なのに長方形」
長:長内転筋
方:縫工筋
形:鼠径靭帯 です。
鼠径靭帯の約5cmほど下で、大腿動脈の最大の枝、大腿深動脈が枝分かれします。大腿深動脈は、この図では分岐部のすぐ先で切断されています。
鼠径靭帯中央と内側上顆を結んだラインが大腿動脈の走行ラインです。大腿動脈は大腿部を下行するにつれて少しずつ深いところに入っていき、内転筋管へと入っていきます。内転筋管は大内転筋と内側広筋の間にみられる広筋内転筋板という結合組織の膜によって作られたトンネルです。
内転筋管を大腿動脈、大腿静脈と伏在神経が通過します。
そして、大腿動脈は内転筋管に続く、内転筋腱裂孔より膝窩動脈となり、膝窩に至ります。
<右:大腿動脈と大腿深動脈/左:伏在裂孔>
こちらは右が大腿動脈と大腿深動脈の走行、左は大腿筋膜に開く伏在裂孔を示したものです。
大腿深動脈は大腿動脈の最大の枝で、内側広筋と内転筋群の間を下行し、大腿部の筋や大腿骨を養います。
左側は大腿三角の位置で、大腿筋膜に開いた伏在裂孔がみられます。
内果の前より下腿、大腿の内側を上行してきた大伏在静脈は伏在裂孔より深部を走行する大腿静脈へと注ぎます。
<深層:大腿深動脈とその枝>
こちらは大腿前側部の最深層、大腿深動脈の枝を剖出した図です。
大腿深動脈の枝は内側大腿回旋動脈、外側大腿回旋動脈、貫通動脈です。
内側大腿回旋動脈は大腿深動脈上端、内後側より分岐します。恥骨筋と腸腰筋の間を内方に向かい、大腿骨頚を廻って、転子窩に達します。途中、浅枝と深枝に分かれます。浅枝は恥骨筋に分布し、深枝は大腿方形筋や大内転筋、大腿屈筋群に分布しつつ転子窩に達します。
外側大腿回旋動脈は大腿深動脈上端、外側より出て、大転子の下で上行枝と下行枝に分かれます。上行枝は縫工筋や大腿筋膜張筋、殿筋群、腸腰筋に枝を出したのち、転子窩に達して内側大腿回旋動脈と吻合します。下行枝は大腿四頭筋に枝をだした後、膝関節動脈網へと加わります。
貫通動脈は通常3本あり、大内転筋を貫いて大腿の後面に至り、大腿屈筋群に分布する他、大腿骨にも血管を送ります。
ちょっと細かいようですが、貫通動脈や内側大腿回旋動脈は国試過去問の選択肢でもでてきています。
臨床的には、高齢者にしばしば見られる大腿骨頚部の骨折にて、内側大腿回旋動脈が損傷を受けることがあります。大腿骨頭は内側大腿回旋動脈よりほとんどの栄養を受けています。よって、内側大腿回旋動脈の損傷により、大腿骨頭壊死が起こる場合があります。
殿部と大腿後側の動脈
こちらは殿部と大腿後側部の動脈を表した図です。
内側大腿回旋動脈 浅枝が大転子へと分布している様子が確認できます。
また、第1、第2、第3貫通動脈が大内転筋を貫いて、大腿屈筋群に分布している様子もみられます。
ここでは、内転筋腱裂孔を通過した膝窩動脈に注目してください。大腿動脈は内転筋腱裂孔を通過して膝窩動脈となり、大腿後側部に至ります。膝窩動脈の全体はこの図からは見れません。
暗記用画像
note【徹底的国試対策】解剖学マガジン
zoom解剖学と連動した資料です。こちらは記事タイプなのでモバイルやPCでいつでも学習を進められるように構成しています。
上肢の脈管 問題演習データ(一問一答・国試過去問)プレゼント
プリントダウンロードページです。問題演習データを無料ダウンロードできます。
解説や問題の赤入れ解答は月額制マガジンにて提供しています。
【2-8 (0)】循環器系 – 下肢の脈管 学習プリント|黒澤一弘|note
[dfads params=’groups=1121&limit=1&orderby=random’]
[dfads params=’groups=1124&limit=1&orderby=random’]
コメント