人体の区分(p.31 人体の区分)
部位 | 境界 |
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頭と頸 | 下顎骨の下縁 – 乳様突起 – 外後頭隆起 |
頸と胸 | 胸骨上縁 (頸切痕) – 鎖骨 – 肩峰 – 第7頸椎 棘突起 |
胸と腹 | 胸骨下端 (剣状突起) – 肋骨弓 – 第12胸椎 棘突起 |
上肢と体幹 | 三角胸筋溝 – 三角筋の起始縁 – 腋窩 |
下肢と体幹 | 鼠径溝 – 上前腸骨棘 – 腸骨稜 – 尾骨 – 殿裂 – 陰部大腿溝 |
体幹は大きく、頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤部に分けられる。一般に、体幹の後面を背と呼ぶが、そのうち頸部の後面を項部と呼び、胸部・腹部の後面全体を広く背部という。その中でも、特に腹部の後面を腰部という。
1) 頭部と頸部の境界
外耳孔から下顎の後縁、さらに下縁をへてオトガイに至る線が頭部と頸部の境界になる。舌骨と下顎の間は口腔の下壁にあたるので、機能的には下顎下縁ではなく、舌骨を境界とする方が自然である。後頭部と頸部の境界は、後頭部の中央に触れる外後頭隆起から上項線を通って、乳様突起の下端を結ぶ線である。頸の後面を項という。
2) 頸部と胸部の境界
胸骨上端の頸切痕から鎖骨上端をたどって肩峰に至る線が、頸部と胸部の境界になる。背面では隆椎(第7頸椎)の棘突起と肩峰を結ぶ線を後頸部(項)と背部の境界とするが、厚い僧帽筋におおわれているため境界は不明瞭である。
胸部は、心臓や肺を保護する胸郭を含む部分である。浅層の筋を通して皮下に胸郭をつくる肋骨や胸骨を触れる。広義の胸部は、背部の一部である後胸壁を含むが、一般には前胸壁と側胸壁を胸部とする。
3) 上肢と胸部の境界
三角筋の前縁(三角筋胸筋溝)から腋窩の頂点を通り三角筋の後縁に至る線が、上肢と胸部の境となる。上肢は、上腕、前腕、手の3部に分かれる。上腕と前腕の移行部で後方に突出した部分を肘(肘頭)、前面のくぽんだ部位を肘窩という。手は手根と中手と指よりなるが、手根と中手を合わせて、前面を手掌、後面を手背という。手指は第1指より順に、母指、示指、中指、環指、小指と並ぶ。上肢の付け根にある腋窩ヒダ(後腋窩ヒダ)の延長線、または肩甲骨の下角を通る垂直線(肩甲線)を、胸部および背部の境界とする。
4) 胸部と腹部の境界
胸骨下端の剣状突起から肋骨弓に沿って胸郭の下縁をたどり背部に至る線が、胸部と腹部の境界となる。剣状突起を通る水平面より下方の下肋部(季肋部)には、横隔膜を隔ててその内部に肝臓などの上腹部内臓が含まれる。
5) 腹部と下肢の境界
鼠径溝と腸骨稜が腹部と下肢の境をなす。しかし、皮膚の溝としての鼠径溝は、皮下脂肪が厚いときは鼠径靱帯より下方に生じるが、実質的には鼠径靱帯が境界となる。下腹部の中央にある恥骨部は、会陰部と隣接する。
6) 会陰
会陰は、前後を外陰部と肛門に境された狭い領域を指す。しかし、広義には外陰部と肛門を含めた骨盤の出口(底)部全体をいい、恥骨と左右の坐骨結節および尾骨を結ぶ菱形の部位である。体表では、陰部大腿溝で下肢と境される。
7) 下肢
背部と殿部との境界は、腸骨稜の後半から後上腸骨棘をへて尾骨に至る。殿部は、下肢部の後面の最上部に位置し、体表部では大腿後面との間に殿溝が見られる。殿部を左右に分ける中央の講を殿裂という。部位としては骨盤部の表面に位置するが、機能的には下肢の一部と見なされる。下肢は、大腿・下腿・足からなる。便宜的に、膝蓋骨の上縁から3横指上方を通る水平線と脛骨粗面を通る水平線の間を、膝部として分ける。膝部の後面のくぼみを膝窩という。
手と同様、足も骨格としては、足根と中足および指からなるが、足根と中足の下面を足底、足の甲を足背という。足底の後端の突出部を踵部、足指(趾)の第1指を母指、第5指を小指という。
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