軟骨内骨化をするのはどれか (2014年 あマ指 問題17)
1 頭頂骨
2 上顎骨
3 鎖骨
4 寛骨
回答と選択肢の考察
答え 4
1.頭頂骨
頭蓋冠を構成する扁平骨(前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨)は膜内骨化によってできる。出生時にはこれらの骨はまだ癒合してなく、隙間があり泉門をつくる。前頭骨と左右の頭頂骨の間を大泉門、左右の頭頂骨と後頭骨の間を小泉門という。この泉門があるおかげで頭の骨が屋根瓦のように少し重なることが可能となり、頭の大きい胎児は狭い産道を通ることができる。前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨が膜内骨化により生じ、生まれたばかりの赤ちゃんはまだ膜内骨化が完全に終わっていない。だから泉門があるのだと理解すれば、頭蓋冠を構成する扁平骨は膜内骨化によるものだということはもう忘れなくなる。
2.上顎骨
上顎骨と下顎骨の大部分(下顎体)は膜内骨化で生じる。少しイメージしにくいが、これは覚えてしまおう。発生的には第一鰓弓から分化する。少し複雑な骨化だが、上顎骨と下顎骨も膜内骨化に準ずるものだと考える。
3.鎖骨
鎖骨も結合組織の膜の中に直接骨ができてつくられる膜内骨化だ。他の膜内骨化の骨が、頭部か顔面なのに対し、体幹では鎖骨のみが膜内骨化する。デコルテの美しさは膜内骨化により作られるんですね。
4.寛骨
寛骨とは、腸骨、坐骨、恥骨を合わせたものを言う。また寛骨と仙骨を合わせたものは骨盤と言う。
寛骨は扁平骨なので膜内骨化だと間違いやすいが、軟骨内骨化だ。腸骨、坐骨、恥骨の癒合過程で、寛骨臼のところに Y字軟骨ができる。このY字軟骨が三つの骨の交点だ。Y字軟骨ができるということは軟骨内骨化だ。
寛骨の基礎は1個の軟骨として現われる。背側の部分は腸骨の基礎となり、腹側に2個の突起が現われる。これが恥骨および坐骨となる基礎となる。突起の先端はやがて癒着して、閉鎖孔を囲むようになる。胎生の第3週になると、この軟骨性の下肢帯原基中に3個の独立した骨化核を生じる。この骨化核が発達して腸骨、恥骨、坐骨となる。この3骨はながく独立骨として存在し、寛骨臼の部分において軟骨組織によって連結されているが、思春期に達すると3骨は癒着する。(森 優, 山元 寅男著;解剖学 続巻 第10版, 1991 金原出版, P. 233)
考え方
骨ができる骨化には
(1) 軟骨内骨化
(2) 膜内骨化
の2つの形式がある。
軟骨内骨化
軟骨で骨の原形が作られ、その軟骨が次第に骨となる。大半の骨は軟骨内骨化によりつくられる。軟骨内骨化でつくられた骨を 置換骨 という。
膜内骨化
結合組織の膜のなかに骨が直接形成される。頭蓋冠の扁平骨(前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨)の他、鎖骨や上顎骨、下顎骨(下顎体の部分)が膜内骨化によりつくられる。膜内骨化でつくられた骨を 付加骨 という。
普通、骨は軟骨内骨化によって作られる。膜内骨化のほうが特殊なのだ。こういう場合は特殊なものをしっかり覚える。つまり、膜内骨化で作られる骨は前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨、鎖骨、上顎骨、下顎骨をしっかり覚え、あとの骨は軟骨内骨化と考える。
知識の確認
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