2014年 第22回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題16〜33 解答
勉強のコツ
やっぱり基本は教科書です。国試4択を教科書の重要箇所を知るフィルターとして用い、関連する教科書のページをチェックすることをお勧めします。関連ページを記載しています。活用して理解をしてください。理解したものは応用力が増し、さらに忘れにくくなります。
問題16 細胞において核の外に遺伝情報を伝えるのはどれか。
1 DNA
2 RNA
3 リボソーム
4 ミトコンドリア
解答 2
1 DNA
二重らせん構造で核内に遺伝情報を保管している(p.8 遺伝子)
2 RNA
DNAの遺伝情報から必要な情報がmRNAに写し取られ (転写) 、核膜孔より出て核の外に伝えられる。核の外にでたmRNAはリボソームに結合し、リボソームがmRNA上に記録されたアミノ酸配列の情報を読み取って、tRNAが指定されたアミノ酸を運んできて、アミノ酸同士が結合し蛋白質となる。これを翻訳という。(p.6 細胞核, p.10 遺伝子発現)
3 リボソーム
mRNAのアミノ酸配列を翻訳し、蛋白質を合成する細胞小器官。DNAに組み込まれた遺伝子情報がmRNAに転写され、リボソームで翻訳されて蛋白質ができる一連の過程を遺伝子発現という。(p.10 遺伝子発現)
4 ミトコンドリア
酸素を用いて糖を燃やしてATPを得る。ATPは生命活動のエネルギー原となる。これを内呼吸といい、内呼吸のうち解糖は細胞質内で無酸素で行われる。その後TCA回路(クエン酸回路)、電子伝達系はミトコンドリア内で酸素を用いて行われる。内呼吸では1モルのグルコースから解糖系で2モルのATP、クエン酸回路でさらに2モル、電子伝達系で34モルのATPが生じ、合計38モルのATPが得られる。(p.5 細胞小器官 – ミトコンドリア)(生p.8 解糖と内呼吸)
問題17 軟骨内骨化をするのはどれか。
1 頭頂骨
2 上顎骨
3 鎖骨
4 寛骨
解答 4
骨化形式には2つある。(p.19 骨の発生と成長)
- 軟骨内骨化
軟骨で骨の原形が作られ、その軟骨が次第に骨となる。大半の骨は軟骨内骨化によりつくられる。軟骨内骨化でつくられた骨を 置換骨 という。 - 膜内骨化
頭蓋冠の扁平骨(前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨)(p.198 頭蓋冠)の他、鎖骨や上顎骨、下顎骨(下顎体の部分)が膜内骨化によりつくられる。膜内骨化でつくられた骨を 付加骨 という。
寛骨は腸骨・恥骨・坐骨の3つの骨が癒合してできる。その3つの癒合点はY字軟骨で軟骨性に結合している。思春期以降、Y字軟骨が骨化し、ひとつの寛骨として完成する。寛骨は扁平骨なので膜内骨化と勘違いしやすいが、Y字軟骨を思い出して軟骨内骨化と結びつけると良い。(p.187 寛骨)
頭蓋の上部をつくる骨、顔面の骨の大部分、上肢帯の鎖骨は本来は外骨格性の皮骨が動物の発達の過程で沈下して、内骨格の一部となったものと考えられている。これらの皮骨性の骨は、その形成からみて、その主要部が結合組織から骨組織がつくられてもの (結合組織骨, 膜性骨化) であって、内骨格性の骨が先に軟骨性の原基を経て骨になる置換骨とは区別される(分担解剖学1 骨・筋 p.19 骨および骨格)
上顎骨は膜性骨である。2個の原基より発生する。その1は上顎隆起の一部で、軟骨性鼻嚢の外側に位置する部分より発生し、多は前頭突起の一部で、両側の鼻孔の間にある部分より発生する。この中で後者は発生の途上、しばらく独立の骨片を形成し、前顎骨、間顎骨、切歯骨などとよばれているが、やがて他部に癒着する。(分担解剖学 4 組織学・発生学 p.232 膜性頭蓋)
問題18 骨で岬角があるのはどれか。
1 胸骨
2 寛骨
3 仙骨
4 大腿骨
解答 3
仙骨上部は仙骨底。仙骨底の前縁で突出している部分を岬角という。(p.175 仙骨)
問題19 関節とその種類との組合せで正しいのはどれか。
1 顎関節———–球関節
2 上橈尺関節——-楕円関節
3 指節間関節——-蝶番関節
4 距腿関節———顆状関節
解答 3
1 顎関節———– 球関節 顆状関節
2 上橈尺関節—— 楕円関節 車軸関節
3 ○ 指節間関節—— 蝶番関節
4 距腿関節——— 顆状関節 ラセン関節
関節の種類 一覧 (p.162 関節の種類)(分担解剖学 1 骨・筋学 p.177 関節面の形状による分類)
- 球関節:3軸性(多軸性)。球状の関節頭と、それに対応する凹面の関節窩よりなる。
- 肩関節、腕橈関節
- 臼状関節:3軸性(多軸性)。球関節のうち、関節窩が特に深いものを臼状関節という。
- 股関節
- 蝶番関節:1軸性。蝶番(ちょうばん)は「ちょうつがい」とも読むことができる。「ちょうつがい」のように屈伸のみに動く1軸性関節。
- 腕尺関節、指節間関節
- ラセン関節:1軸性。蝶番関節の変形。運動方向が運動軸に対して斜めになっている。
- 距腿関節
- 車軸関節:1軸性。関節頭の周囲に環状に関節面があり、車軸のように回旋する。
- 上橈尺関節、下橈尺関節、正中環軸関節
- 楕円関節:2軸性。関節頭が楕円球状で、関節頭の長軸と短軸を回転軸とする2軸性関節。回旋はできない。
- 橈骨手根関節
- 顆状関節:1軸性又は2軸性。楕円形の関節頭と浅い関節窩からなり、運動は靭帯による制限により1あるいは2方向に限られるもの。
- 中手指節関節、膝関節、顎関節
- 鞍関節:2軸性。関節面が鞍と馬の背のような双曲面をもち、互いに直交する方向に向かいあう。
- 母指の手根中手関節、胸鎖関節
- 平面関節:関節面が平面で、運動領域はきわめて限定されているのでわずかにずれるだけ。
- 椎間関節
- 半関節:関節としての形態をもつが、可動性がほとんどない。
- 仙腸関節、脛腓関節、手根中手関節、手根間関節
問題20 橈骨神経に支配されるのはどれか。
1 回外筋
2 円回内筋
3 方形回内筋
4 母指対立筋
解答 1
1 回外筋(p.248 前腕深層の伸筋群)
上腕骨外側上顆・尺骨上部外側面(回外筋稜) → 橈骨上部外側;橈骨神経;前腕の回外
2 円回内筋(p.243 前腕浅層の屈筋群)
(上腕頭)内側上顆、(尺骨頭)鈎状突起 → 円回内筋粗面(橈骨);正中神経;前腕の回内
3 方形回内筋(p.244 前腕深層の屈筋群)
尺骨下部前面 → 橈骨下部前面;正中神経;前腕の回内
4 母指対立筋(p.250 母指球筋)
大菱形骨、屈筋支帯 → 第1中手骨体の橈側縁;正中神経;母指の対立運動
橈骨神経は上肢の伸筋群を支配する。なので上肢の筋で「ナントカ伸筋」といった場合は橈骨神経支配だ。あとは「ナントカ伸筋」以外の橈骨神経支配の筋を覚えれば良い。以下の5つ。たった5つ覚えるだけで、沢山ある橈骨神経支配の筋が全部わかる。(p.260 表10–23 腕神経叢)
「ナントカ伸筋」以外の橈骨神経支配の筋
- 上腕三頭筋
- 肘筋
- 腕橈骨筋
- 回外筋
- 長母指外転筋
問題21 前腕を回外させる作用のあるのはどれか。
1 烏口腕筋
2 上腕筋
3 上腕二頭筋
4 上腕三頭筋
解答 3
1 烏口腕筋(p.240 上腕の屈筋群)
肩甲骨 烏口突起 → 上腕骨体;筋皮神経;肩関節の屈曲・内転
2 上腕筋(p.240 上腕の屈筋群)
上腕骨前面の下半部 → 尺骨粗面;筋皮神経;肘関節の屈曲
3 上腕二頭筋(p.240 上腕の屈筋群)
(長頭) 関節上結節・(短頭) 烏口突起 → 橈骨粗面;筋皮神経;肘関節の屈曲、前腕の回外
4 上腕三頭筋(p.242 上腕の伸筋群)
(長頭) 関節下結節・(外側頭) 上腕骨外側面・(内側頭) 上腕骨後面 → 肘頭;橈骨神経;肘関節の伸展
問題22 骨盤隔膜の主体をなすのはどれか。
1 肛門挙筋
2 外閉鎖筋
3 内閉鎖筋
4 梨状筋
解答 1
1 肛門挙筋
尿生殖隔膜は深会陰横筋、骨盤隔膜は肛門挙筋が主体をなす。(p.218 肛門挙筋, 尾骨筋, p.219 陰部の筋と神経の分布)
2 外閉鎖筋
外閉鎖筋は閉鎖神経支配の内転筋群に分類されるが、股関節外旋の作用もあり、外寛骨筋に分類される場合もある。深層外旋六筋のひとつにもなっている。(p.272 大腿内面の筋 (内転筋群))
3 内閉鎖筋
内閉鎖筋は骨盤内で閉鎖膜内面から起こり、後方に走行し、小坐骨孔の縁で直角に曲がり転子窩に停止する。(p.266 外寛骨筋)
4 梨状筋
仙骨の前面より始まり、大坐骨孔を通過して大転子上端の後縁に停止する。(p.266 外寛骨筋)
問題23 膝窩の上外側縁をなすのはどれか。
1 半腱様筋
2 大腿二頭筋
3 大内転筋
4 腓腹筋
解答 2
膝窩の上部を構成する筋肉
- 大腿二頭筋
- 大腿二頭筋長頭
坐骨結節→腓骨頭/脛骨神経/股関節伸展・膝関節屈曲、外旋- 大腿二頭筋短頭
粗線外側唇→腓骨頭/総腓骨神経/膝関節屈曲、外旋- 半腱様筋
坐骨結節→脛骨粗面の内側(鵞足の形成)/脛骨神経/膝関節屈曲、内旋- 半膜様筋
坐骨結節→脛骨内側顆の後部/脛骨神経/膝関節屈曲、内旋膝窩の下部を構成する筋肉
- 下腿三頭筋
- 腓腹筋
内側上顆(内側頭)・外側上顆(外側頭)→踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起に終わる/脛骨神経/足関節底屈・膝関節屈曲- ヒラメ筋
腓骨頭, ヒラメ筋線→踵骨腱の内側縁→踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起に終わる/脛骨神経/足関節底屈
問題24 乳歯の数はどれか。
1 10本
2 16本
3 20本
4 32本
解答 3
乳歯
乳歯は上顎・下顎、左右で5本ずつ、計20本ある。切歯2本、犬歯1本、乳臼歯2本の5本である。(p.75 乳歯と永久歯, 歯の形)
永久歯
永久歯は上顎・下顎、左右で8本ずつ、計32本ある。切歯2本、犬歯1本、小臼歯2本、大臼歯3本の8本である。(p.75 乳歯と永久歯, 歯の形)
切歯 | 犬歯 | 小臼歯 | 大臼歯 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
乳歯 | 2 | 1 | 2 | 0 | 20 |
永久歯 | 2 | 1 | 2 | 3 | 32 |
問題25 胃酸を分泌する細胞はどれか。
1 G細胞
2 主細胞
3 副細胞
4 壁細胞
解答 4
1 G細胞
ガストリンを分泌する。ガストリンは壁細胞に作用し胃酸分泌を促進させる。(p.79 胃の粘膜)
2 主細胞
ペプシノーゲンを分泌する。ペプシノーゲンは胃酸と反応して蛋白分解酵素のペプシンとなる。(p.79 胃の粘膜)
3 副細胞
粘液(ムチン)を分泌する。胃粘膜を保護する。(p.79 胃の粘膜)
4 壁細胞
塩酸と内因子を分泌する。塩酸は胃液を強い酸性とする。胃からでる酸なので胃酸ともいう。内因子は回腸でのビタミンB12の吸収に必要。(p.79 胃の粘膜)
問題26 肺について正しいのはどれか。
1 右肺は2葉に分かれる。
2 区域気管支には軟骨がある。
3 肺尖は鎖骨と同じ高さである。
4 左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域を胸膜腔という。
解答 2
1 右肺は23葉に分かれる。
肺葉の数は左二右三(サニウゾウ)。ちなみに心臓の房室弁の弁尖の数も左二右三だ。肺も心臓もサニウゾウって覚えると良い。(p.66 肺葉)
2 区域気管支には軟骨がある。
軟骨がなくなるのは細気管支からなので、その手前の区域気管支には軟骨がある。(p.66 肺区域)
3 肺尖は鎖骨と同じ高さであるの上方2〜3cmまで達する。
肺尖部は鎖骨の上方2〜3cmまで達する。鎖骨の上は頚部と扱うので、肺尖部は頚部まで突出する。(p.66 肺)
4 左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域を胸膜腔縦隔という。(p.68 縦隔)
左右の肺の壁側胸膜に挟まれた領域は縦隔である。胸膜腔は臓側胸膜と壁側胸膜に挟まれた領域で、漿液で満たされる。
問題27 心臓について正しいのはどれか。
1 三尖弁は乳頭筋により開く。
2 中心臓静脈は前室間溝を走る。
3 心内膜は重層扁平上皮からなる。
4 刺激伝導系は特殊心筋よりなる。
解答 4
1 乳頭筋は心収縮時に房室弁が開くのを防ぐ
腱索と乳頭筋は房室弁の逆流防止装置。乳頭筋は心室筋の一部で、心室が収縮するときに乳頭筋も収縮する。これにより腱索を介して房室弁が開かないように固定する。(p.42 心臓の弁膜)
2 大心臓静脈は前室間溝を走る。
「ヒダリマエ、大きいのが当たり前」前室間溝を走る血管は、前室間枝(左冠状動脈の枝)と大心臓静脈。(p.43 心臓の血管)
- 冠状溝:心房と心室の間を取り囲む溝
右冠状動脈、回旋枝(左冠状動脈の枝)、冠状静脈洞 - 前室間溝:左右の心室間、前部の溝
前室間枝(左冠状動脈の枝)、大心臓静脈 - 後室間溝:左右の心室間、後部の溝
後室間枝(右冠状動脈の枝)、中心臓静脈
3 心内膜は単層扁平上皮からなる。
心内膜はそのまま血管内皮に連続するので、血管内皮と同じく単層扁平上皮だ。(p.40 心臓の壁)
4 ○ 刺激伝導系は特殊心筋よりなる。
刺激伝導系は「特殊な心筋」により構成される。(p.42 刺激伝導系)
問題28 動脈とその分布先との組合せで正しいのはどれか。
1 閉鎖動脈——-大腰筋
2 上殿動脈——-中殿筋
3 下殿動脈——-小殿筋
4 大腿動脈——-大殿筋
解答 2
1 腸腰動脈——-大腰筋
腸腰動脈は仙腸関節の前方を上行し、腸腰筋などの後腹壁を栄養する。(p.48 内腸骨動脈 壁側枝:腸腰動脈)
閉鎖動脈は、閉鎖神経とともに閉鎖孔を通って大腿内側に至る。直ちに寛骨臼切痕に向かって、大腿骨頭靭帯に沿う大腿骨頭の動脈を出すほか、内転筋群に分布する筋枝を出す。(p.48 内腸骨動脈 下枝に向かう枝:閉鎖動脈)
2 ○上殿動脈——-中殿筋
上殿動脈は同神経による支配筋と同じく、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋に分布する。(浅枝は大殿筋上部にも分布する。)
3 上殿動脈——-小殿筋
下殿動脈は同神経による支配筋と同じく、大殿筋に分布する。
4 下殿動脈——-大殿筋
大腿動脈は大腿深動脈などの枝をだし、大腿の筋群に分布する。大殿筋は殿部なので、身体の前と後ろで全く違う場所なので明らかに間違いである。
問題29 静脈について正しいのはどれか。
1 腎静脈は門脈に注ぐ。
2 肋間静脈は奇静脈に注ぐ。
3 下大静脈は正中線より左にある。
4 左腕頭静脈は腕頭動脈の後ろを横切る。
解答 2
1 腎静脈は下大静脈に注ぐ。
脾静脈 + 上腸間膜静脈 + 下腸間膜動脈 → 門脈 → (肝臓) → 小葉間動脈 → 洞様毛細血管 → 中心静脈 → 肝静脈 → 下大静脈(p.50 門脈系, p84 肝小葉)
2 ○ 肋間静脈は奇静脈に注ぐ。
胸壁の静脈血は肋間静脈より奇静脈系に集められて上大静脈に注ぐ。(p.49 門脈系)
3 下大静脈は正中線より右にある。
上大静脈も下大静脈も正中線より右にある。よって左腎静脈と左腕頭静脈は右に比べて長くなることも同時に覚えよう(p.50 下大静脈に注ぐ枝)
4 左腕頭静脈は腕頭動脈の前を横切る。
上大静脈は大動脈弓より右を走行する。左腕頭静脈は右腕頭静脈に比べて長く水平位に近い走行をとる。また一般的に静脈は動脈より浅層を走る。以上のことより左腕頭静脈は腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈の前を横切って走行する。(p.49 上大静脈に注ぐ枝 (注)
問題30 脳梁を構成する線維はどれか。
1 弓状線維
2 交連線維
3 投射線維
4 連合線維
解答 2
大脳の白質を構成する3種類の神経線維 (p. 127〜128 大脳の白質)
- 投射線維
大脳皮質と脳内の下位(大脳基底核・脳幹・小脳)や脊髄を連絡する線維。内包と「放線」と名前がつくもの。- 内包 :レンズ核と尾状核・視床の間を通過する線維束。大脳に出入りする神経線維の大部分が内包を通る。
- 放線冠 :内包を中心として大脳皮質の方向に扇のように線維が広がっている場所。
- 視放線 :外側膝状体から1次視覚野に向かう視覚路の神経線維束。
- 聴放線 :内側膝状体から1次聴覚野に向かう聴覚路の神経線維束。
- 交連線維
左右の大脳半球を連絡する。脳梁が重要。※ 梁(はり)とは建物の水平短径方向に架けられ、床や屋根などの荷重を柱に伝える材のこと。解剖用語は漢字で分解し、漢字一文字のもつ意味をイメージすると覚えやすくなる。- 脳梁 (corpus callosum):大脳縦裂の底部で、左右の大脳半球を結ぶ横走線維束。
- 前交連 (anterior commissure):第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束。
- 後交連 (posterior commissure):第三脳室後方の中脳水道に連なる部位のすぐ上方にある横走線維束。
- 連合線維
連合線維は同側の大脳半球の皮質各部を連絡する。- 弓状線維:連合線維の中でも短く、同じ回または隣の回を結ぶ線維束。
- 上縦束:前頭葉の前部と後頭葉・側頭葉を結ぶ。
- 下縦束:後頭葉と側頭葉を結ぶ。
- 後頭前頭束:前頭葉と後頭葉を結ぶ。
- 鉤状束:前頭葉の下部と側頭葉の前部を結ぶ。
- 帯状束:帯状回を構成する線維束。
問題31 三叉神経の枝はどれか。
1 滑車上神経
2 小後頭神経
3 上喉頭神経
4 大耳介神経
解答 1
1 滑車上神経
頭部体表を支配する三叉神経の主な枝(p.315 頭部の皮神経)
- 眼神経の枝
- 滑車上神経
- 眼窩上神経
- 上顎神経の枝
- 眼窩下神経
- 頬骨神経
- 下顎神経の枝
- オトガイ神経
- 頬神経
- 耳介側頭神経
2 小後頭神経(p.305 図10–151 後頸三角、p.312 図10–155 頭頸部の皮神経、p.316 図10–156 頸神経叢)
頚神経叢の枝。後頚三角より出て胸鎖乳突筋の後縁に沿って上行し、後頭に達し、大後頭神経と大耳介神経の間の後頭部の皮膚知覚(GSA)を司る。《解剖学講義 p.628 頸神経叢の皮枝》
3 上喉頭神経
迷走神経の枝。迷走神経は延髄から出る太い神経で、舌咽神経、腹神経とともに頸静脈孔を通り頭蓋の下面に出たのち内頸静脈に沿って頚部を下行し胸腔に入る。頸部では咽頭への枝や頸動脈小体への枝、上喉頭神経及び心臓枝を分布する。(p.314 迷走神経)
4 大耳介神経(p.305 図10–151 後頸三角、p.312 図10–155 頭頸部の皮神経、p.316 図10–156 頸神経叢)
頚神経叢の枝。胸鎖乳突筋の後縁中央から皮下に現れ、上行し、耳介の後部・外側部・全部の皮膚に分布する。
解答 1
問題32 脛骨神経の枝はどれか。
1 伏在神経
2 深腓骨神経
3 外側足底神経
4 内側足背皮神経
解答 3
1 伏在神経
伏在神経は大腿神経の枝で、下腿内側より足背内側縁の皮膚感覚を担う。(p.292 腰神経叢 – 大腿神経)
2 深腓骨神経
深腓骨神経は総腓骨神経の枝で下腿の伸筋群(長指伸筋・長母指伸筋・前脛骨筋)に筋枝を出す。(p.294 坐骨神経 – 総腓骨神経)
3 ○ 外側足底神経
脛骨神経の枝。脛骨神経は足根管を通過し内側・外側足底神経に分かれて終わる。(p.294 坐骨神経 – 脛骨神経)
4 内側足背皮神経
浅腓骨神経の枝。 浅腓骨神経は腓骨筋群(長腓骨筋・短腓骨筋)に筋枝を出したのち、内側足背皮神経と中間足背皮神経になる。(p.294 坐骨神経 – 総腓骨神経)
坐骨神経の枝(p.293 坐骨神経)
- 坐骨神経
- 総腓骨神経
- 浅腓骨神経
- 内側足背皮神経
- 中間足背皮神経
- 深腓骨神経
- 脛骨神経
- 腓腹神経
- 内側足底神経
- 外側足底神経
問題33 内耳に存在するのはどれか。
1 アブミ骨筋
2 鼓索神経
3 鼓膜
4 前庭
解答 4
1 アブミ骨筋(中耳)(p.154 鼓室)
大きな音に晒された時に、内耳に過剰な振動がいかないように耳小骨の振動を抑制する2つの横紋筋が中耳にある。
アブミ骨筋は顔面神経の枝(アブミ骨筋神経)により支配され、アブミ骨をを引き、前庭窓に伝わる振動を減弱させる。
鼓膜張筋はツチ骨を鼓室のほうに引いて鼓膜を緊張させる。
2 鼓索神経(p.313 顔面神経)
鼓膜の内面上方を鼓索神経が走行している(p.154 鼓膜)。鼓索神経は顔面神経の枝で、舌前2/3の味覚と顎下腺・舌下腺の副交感を司る。梅干しが酸っぱくて唾液が出る。酸っぱいと感じるのも唾を出すのも鼓索神経の働きだ。
3 鼓膜(中耳)(p.154 鼓室)
鼓膜は耳の穴の奥。外耳と中耳の境にあるが、鼓膜自体は中耳に属する。鼓膜・鼓室・耳管が中耳で、鼓室にツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3つの耳小骨がある。
4 ○前庭(p.154 内耳)
内耳の構造を考えるのに、まずは全体像として外側が骨迷路、内側に一回り小さい膜迷路よりなることを理解する。骨迷路と膜迷路の間は外リンパ液、膜迷路の中は内リンパ液で満たされている。つまり内耳はリンパで満たされている。
部位で内耳を分けると、蝸牛、前庭、半規管に分けられる。蝸牛は聴覚、前庭は直進方向の加速度と身体の傾き、半規管は回転運動の加速度を感じる。そしてポイントは有毛細胞がある部位名だ。
部位名 | 感覚受容装置 | 感覚 |
---|---|---|
蝸牛 | コルチ器(ラセン器) | 聴覚 |
前庭 | 平衡斑 | 直進方向の加速度と身体の傾き |
半規管 | 膨大部稜 | 回転運動の加速度 |
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