問題 27 核酸について正しいのはどれか。
1 RNAは二重らせん構造である
2 RNA分子はDNA分子より大きい
3 DNAは凝集して染色体を形成する
4 伝令RNAはアミノ酸をリボソーム上に運ぶ
解答 3
1 DNAは二重らせん構造である
2 RNA分子はDNA分子より小さい
3 ○ DNAは凝集して染色体を形成する
4 運搬RNAはアミノ酸をリボソーム上に運ぶ
問題 28 心臓の1回拍出量を増やす因子はどれか
1 胸腔内圧の低下
2 右心房内圧の上昇
3 静脈還流量の減少
4 迷走神経活動の亢進
解答 1
1 ○ 胸腔内圧の低下 → 静脈還流量の増加 → 1回拍出量増加
吸息時に胸腔内圧が低下することによって血液が胸腔内に吸引される。(生理学 p.41血液循環-静脈)
2 △ 右心房内圧の上昇
右心房内圧が上昇した場合、静脈還流が滞り、心拍出量は減少すると考える。右心不全や心タンポナーデなどで右心房内圧は上昇する。
標準生理学では右房圧が増加するにしたがって心拍出量が増加するという記述がある(標準生理学 p.584)
3 静脈還流量の減少 → 1回拍出量低下
心臓が大量の血液で充満して心筋が伸展されると、心筋はその伸展の度合いに応じて大きな収縮力を発生する。これをスターリングの心臓の法則と呼ぶ。この心筋の持つ特性のために、右心房に流入する静脈血の量(静脈還流量)が多いほど心臓の拍出量が増加することになる。(生理学 p.30 心臓の構造と働き)
4 迷走神経活動の亢進 → 心機能抑制 → 1回拍出量低下
迷走神経の活動が冗進し、次のような循環反応が起こる。
(1) 心臓の反応:心拍数の低下、心筋収縮力の低下、心拍出量の減少。
(2) 血管の反応:末梢の抵抗血管の拡張、容量血管の拡張。
(3) 副腎髄質機能:副腎髄質細胞からのカテコールアミンの放出の減少。
(生理学 p.44 循環調節)
問題29 健康成人の肺気量で最も多いのはどれか
1 死腔量
2 残気量
3 予備吸気量
4 1回換気量
解答 3
1 死腔量 (150ml)
2 残気量 (約1〜1.5l)
3 予備吸気量 (約2〜3l)
4 1回換気量 (約500ml)
問題30 産熱に関与しないのはどれか
1 基礎代謝
2 ふるえ
3 不感蒸散
4 黄体ホルモン
解答 3
1 基礎代謝 → 熱産生
目の覚めている状態で、生体機能の維持に必要な最小限の代謝量を基礎代謝量という。基礎代謝によって産生されるエネルギーは体温の維持に重要である。(p.111 熱産生- 基礎代謝量)
2 ふるえ → 熱産生
寒いときには、骨格筋が不随意的に細かく律動的に収縮して、ふるえによって産熱が起こる。これをふるえ産熱といい、運動神経を介して調節される。(p.111 熱産生-筋収縮による産熱)
3 不感蒸散 → 熱放散
水分が体表面から蒸発する際に、気化熱が体熱から奪われる。体表面からの蒸発は不感蒸散と発汗によって行われる。不感蒸散とは、常時起こっている身体からの水分の蒸発現象で、一般に意識にのぼらないものをさす。不感蒸散は1日当たり、皮膚から500~700ml、肺から150~450mlあり、合計約1lに及ぶ。
4 黄体ホルモン → 熱産生
黄体ホルモンには代謝促進作用があり、排卵直後から月経に至るまでの間の基礎体温を上昇させる。(p.112 熱産生- ホルモンの作用)
問題31 蓄尿時に興奮が抑制されるのはどれか。
1 膀胱平滑筋
2 尿道括約筋
3 骨盤神経求心路
4 陰部神経遠心路
解答 1
1 ○ 膀胱平滑筋 → 弛緩しないと尿が溜まらない → 興奮抑制
2 尿道括約筋 → 閉まらないと尿が溜まらない → 興奮
3 骨盤神経求心路 → 尿が溜まってきて膀胱壁が伸展されると、その情報が骨盤神経の求心路を通って、仙髄の排尿中枢に伝えられる。
4 陰部神経遠心路 → 外尿道括約筋は横紋筋で陰部神経支配。尿が貯留して膀胱内圧が高まると反射的に興奮して、尿が漏れでるのを抑える。
蓄尿と排尿 (p.127 蓄尿と排尿)
(1) 蓄尿:膀胱には腎臓から尿管を通って絶えず尿が送り込まれるが、膀胱内にある量に達するまで貯めることができる。これを蓄尿という。膀胱に尿が貯留し始めると、膀胱壁が伸展し、その情報は主として骨盤神経の求心路を通って仙髄の排尿中枢に伝えられ、反射性に下腹神経を介して膀胱を弛緩させ、内尿道括約筋を収縮させる。そのため膀胱内圧があまり上昇せずにある程度の尿が貯まる。同時に、陰部神経が興奮して、外尿道括約筋を収縮させ、尿が漏れ出るのを抑える。成人の膀胱容量は300~500mlである。膀胱内の尿量が150~300mlくらいになると尿意を感じるようになるが、通常は大脳皮質からの指令で陰部神経が働き外尿道括約筋の収縮が強まり、排尿を我慢できる。
(2) 排尿:膀胱内容量が400mlくらいになると骨盤神経の求心路の活動は活発になり、尿意が高まる。そして、脳幹の排尿中枢が活動して骨盤神経の活動を亢進させ、膀胱は強力に収縮する。同時に下腹神経と陰部神経の活動は低下し、内および外尿道括約筋が弛緩して尿は体外に排泄される。これを排尿という。
問題32 副甲状腺から分泌されるのはどれか
1 パラソルモン
2 カルシトニン
3 ソマトスタチン
4 サイロキシン
解答 1
1 パラソルモン:副甲状腺 (上皮小体)
2 カルシトニン:甲状腺 傍濾胞細胞
3 ソマトスタチン:膵δ細胞、視床下部(成長ホルモン放出抑制ホルモン)
4 サイロキシン:甲状腺 濾胞上皮細胞
副甲状腺(上皮小体)は、甲状腺の後面に左右2個ずつあり、副甲状腺ホルモン(パラソルモン、PTH:parathormone)を分泌する。副甲状腺ホルモンは骨と腎臓に作用して、血漿中のCa2+濃度を増大させる。すなわち、
(1) 骨のCaをCa2+として血中に遊離させる。
(2) 腎臓の尿細管におけるCa2+の再吸収を促す。
(3) 腎臓におけるビタミンD3の、活性化を促進することにより、間接的に腸からのCa2+の吸収を促す。
血漿中Ca2+濃度が減少すると、副甲状腺ホルモンの分泌が高まる。(生理学 p.141 副甲状腺ホルモン)
問題33 卵巣について正しいのはどれか
1 卵胞刺激ホルモンを分泌する
2 プロラクチンを分泌する
3 子宮に直接つながる
4 黄体を形成する
解答 4
1 × 卵胞刺激ホルモンを分泌する
卵胞刺激ホルモン(FSH)は下垂体前葉より分泌される
2 × プロラクチンを分泌する
プロラクチンは下垂体前葉より分泌される
3 × 子宮に直接つながる
直接つながらない。卵巣から排卵された卵子は、卵管采で捉えられ卵管を子宮まで運ばれるが、卵巣と卵管も直接つながってはいない。よく解剖図などで卵管采が卵巣を被っている図があるが、おおいかぶさっているだけで、離すことができるので、直接連続はしていない。膣-子宮-卵管は中腔性臓器で連続しているが、卵巣は実質性臓器。直接つながってはいない。
4 ○ 黄体を形成する
卵胞や黄体は卵巣内に存在する。排卵後の卵胞は出血して赤いが(赤体)、まもなく多数の脂肪滴と黄色い色素に満たされた大型の細胞の集団となり、黄体と呼ばれる。卵子が受精して子宮内膜に着床すれば、黄体は妊娠黄体となって持続するが、受精しない場合は、月経黄体として最大(約2cm)となった後、退縮し、結合組織が増えて白体となる。黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌される。
反射中枢が中脳にあるのはどれか
1 嚥下反射
2 排尿反射
3 伸張反射
4 立ち直り反射
解答 4
1 嚥下反射:延髄
延髄には呼吸・循環・嚥下・嘔吐・唾液分泌の中枢がある。(生理学 p.184 脳幹)
2 排尿反射:橋
橋には、仙髄に下行性情報を送って排尿を調節する排尿中枢がある。(生理学 p.184 脳幹)
3 伸張反射:脊髄
伸張反射の求心路は、筋紡錘につながるIa群求心性線維である。Ia群求心性線維の興奮は後根を通って脊髄に入り、1個のシナプスを介して脊髄前角にあるα運動ニューロンを興奮・活動させる。α運動ニューロンの活動は軸索(遠心路)を通って同名筋の筋線維(錘外筋線維)に伝えられ、その結果、筋(錘外筋線維)を収縮させる。伸張反射は脊髄内で興奮性シナプスを1個介する特徴がある。このように、中枢神経内でシナプスを1個介する反射を単シナプス反射という。(生理学 p.232 運動の調節)
4 ○ 立ち直り反射:中脳
中脳には立ち直り反射などの姿勢反射中枢がある。(p.185 脳幹)
中脳と橋の間で切断した除脳動物では、押し倒すと自分で立ち上がることはできないが、中脳を残した動物、すなわち中脳の上方で脳を切断した動物(中脳動物)では除脳固縮を示さず、しかも随意運動はできないにもかかわらず反射的に自分で立ち上がることができる。たとえば正常のネコを背位から落としても四肢で床の上に立つ。どんな姿勢からでも、反射性に正常な起立姿勢にもどることのできる反射を立ち直り反射という。(p.241 姿勢反射)
問題35 損傷直後に片側の弛緩麻痺が起こるのはどれか
1 小脳
2 大脳基底核
3 一次運動野
4 補足運動野
解答 3
一次運動野が破壊されると、破壊直後には反対側の支配筋に弛緩麻痺(筋の緊張が低下する型の運動麻痺)が起こる。時間が経つにつれて腱反射のような深部反射は回復して、痙性麻痺(痙縮を伴う中枢性の麻痺)に変化することがある。(p.244 運動野の障害)
問題36 免疫について正しいのはどれか
1 マクロファージは抗原を提示する
2 ヘルパーT細胞は補体を放出する
3 好中球は抗原を特異的に認識する
4 サイトカインは抗原と特異的に結合する
解答 1
1 ○ マクロファージは抗原を提示する
マクロファージとは大食細胞という意味で、積極的に遊走し、大きな異物を貧食して除去する。さらに、貧食によって取り込んだ異物の断片を抗原としてリンパ球に提示し、これによってリンパ球に抗原を認識・記憶させる働きを持ち(抗原提示という)、免疫系において極めて重要な役割を担っている。(p.282 単球とマクロファージ)
2 ヘルパーT細胞はサイトカインを放出する
へルパーT細胞はサイトカインと呼ばれる物質を放出して、B細胞の分裂や抗体産生を助けたり、マクロファージが病原体を破壊するのを助ける働きを持つ。(p.283 T細胞)
サイトカインは、免疫反応において細胞間相互作用を司る液性因子の総称である。インターフェロンやインターロイキンなどがある。たとえばインターフェロンは組織細胞がウイルスに感染すると、T細胞や感染した組織細胞から遊離され、未感染の組繊細胞のウイルスに対する抵抗性を増強したり、感染した組織細胞に対するリンパ球の感受性を増強したりする。またインターロイキンは主としてT細胞から遊離され、他のリンパ球に働きかけて、分裂や分化を引き起こす。(p.284 サイトカイン)補体系は約30種類の血漿タンパクからなり、炎症反応、食作用の亢進、細胞溶解作用など、さまざまな働きを助けている。(p.284 補体)
3 好中球は抗原を特異的に認識する
抗原を特異的に認識して対応するのは獲得免疫の働き。(p.280 特異的防御機構 獲得免疫)
好中球やマクロファージは非特異的に異物に対応する。これを自然免疫という。(p.278 非特異的防御機構 自然免疫)
4 抗体は抗原と特異的に結合する
抗体はB細胞から分化した形質細胞によって産生されるタンパク質で、免疫グロブリン(γ−グロブリン)とも呼ばれる。抗体は特定の抗原と特異的に結合する能力を持つ。抗体は細菌などの抗原と抗原抗体複合体を作って凝集させたり、ウイルスなどの抗原に結合してその感染力を失わせる。また、病原微生物などの抗原に抗体が結合すると、白血球の抗原に対する食作用が促進される効果もある(オプソニン作用)。(p.283 抗体)
問題37 ホルモン分泌の日内リズムで、夜間、睡眠時に最も高まるのはどれか
1 アドレナリン
2 成長ホルモン
3 コルチゾール
4 パラソルモン
解答 2
成長ホルモンは、発育期の成長を促進する。成長ホルモンは、
(1)骨端での軟骨形成促進、
(2)タンパク質合成の促進、
(3)血糖値の上昇、
(4)脂肪酸の遊離、などの作用を持つ。
GH分泌は睡眠時に高まる。GHは標的器官に対して、直接あるいは肝臓などから分泌されるIGF–1(インスリン様成長因子–1、ソマトメジンとも呼ばれる)を介して作用する。
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