2015年 第23回 あん摩マッサージ指圧師 国家試験 解剖学 問題 16〜26 解答
問題16 ダウン症において異常があるのはどれか。
1 13番常染色体
2 18番常染色体
3 21番常染色体
4 22番常染色体
解答 3
染色体に異常があると身体の構造や働きに異常が現れることがある。 (p.7 染色体異常)
- ダウン症
21番トリソミー。21番目の染色体が1対 (2本) ではなく3本ある。その頻度は1,000人に1人とされ、特有の顔貌と知能の低下がみられる。 - ターナー症候群
X0 (X染色体が1本しかない)。身長は伸びず卵巣の発育も悪い。 - クラインフェルター症候群
XXY(XYの性染色体の他に、もう1本 X染色体が存在)。
問題17 手根骨で屈筋支帯が付着するのはどれか。
1 月状骨
2 舟状骨
3 小菱形骨
4 有頭骨
解答 2
手根骨 (p.182 図10–22 手の骨, p.183 手根骨)
- 近位列(4個)
(橈側) 舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨 (尺側) - 遠位列(4個)
(橈側) 大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨 (尺側)
屈筋支帯と手根管(p.256–257)
- 手根管
手根骨の橈側端にある舟状骨と大菱形骨、尺側端にある豆状骨と有鈎骨はそれぞれ手のひらに隆起を作り、手根中央部は弧を描いてくぼんでいる。この隆起をそれぞれ頭側手根隆起と尺側手根隆起といい、両隆起の間に靭帯性の屈筋支帯が張って手根中央部の窪みとともに手根管というトンネルを作る。
手根管を通過するものは以下のものがある - 浅指屈筋
- 深指屈筋
- 長母指屈筋
- 正中神経
問題18 消化管においてアウエルバッハ神経叢があるのはどれか。
1 粘膜上皮と粘膜筋板の間
2 粘膜筋板と輪走筋層の間
3 輪走筋層と縦走筋層の間
4 縦走筋層と漿膜の間
解答 3
消化管の基本構造 (p.70–71)
- 粘膜
- 粘膜上皮
- 粘膜固有層
- 粘膜筋板
- 粘膜下組織
- マイスネル神経叢 (粘膜下神経叢)
- 筋層
- 内層:輪筋層
- アウエルバッハ神経叢 (筋層間神経叢)
- 外層:縦筋層
- 漿膜または外膜
(腹膜内臓器は単層扁平上皮の漿膜で覆われ、それ以外は疎性結合組織の外膜で覆われる)
アウエルバッハ神経叢 (筋層間神経叢) (p.71)
消化管の内輪筋層と外縦筋層の間にある神経叢。消化管の蠕動運動や分節運動などをつかさどる。
問題19 大腿三角の一辺を形成する筋はどれか。
1 恥骨筋
2 長内転筋
3 大内転筋
4 内側広筋
解答 2
大腿三角 (スカルパ三角) (p.284)
鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋に囲まれた領域。この三角の床を腸腰筋と恥骨筋が作る。この三角の上縁は鼠径靭帯の下に開いた筋裂孔・血管裂孔と連絡し、さらに三角の下部は内転筋管に続く。大腿三角の中には、内側から順に大腿静脈、大腿動脈、大腿神経が並ぶ。
大腿三角の浅層は大腿筋膜でおおわれ、この部分の大腿筋膜には伏在裂孔が開いている。伏在裂孔は大伏在静脈が通り、大腿静脈に注ぎ込む。
問題20 気管が始まる高さはどれか。
1 第1頚椎
2 第3頚椎
3 第6頚椎
4 第1胸椎
解答 3
気管 (p.65)
- 始まり:輪状軟骨の下 (第6頚椎の高さ)
- 終わり:気管分岐部 (第5胸椎の高さ)
- 気管軟骨は馬蹄形
- 膜性壁(軟骨を欠く部分で、粘膜と平滑筋からなる)
気管は第6頚椎の高さで、喉頭の輪状軟骨の下から垂直に下降する長さ10〜13cm、直径2cmの管。
輪状軟骨-C6のラインは
呼吸器系では喉頭→気管
消化器系では咽頭→食道 に続く。
問題21 胎児循環で肝鎌状間膜内を通るのはどれか。
1 肝静脈
2 臍静脈
3 静脈管
4 門脈
解答 2
胎児循環 (p.52–53)
- 臍動脈 (1対) :左右の内腸骨動脈 → 臍帯 → 胎盤
- 胎盤でガス交換や栄養素、老廃物の交換が行われる
- 絨毛:胎児側の毛細血管が走る
- 絨毛間腔:母体の血液で満たされている
- 臍静脈 (1本):胎盤 → 肝鎌状間膜内を通って肝臓の下面に達する
- 静脈管 (アランチウス管):臍静脈からの血液 → 下大静脈
- 卵円孔:右心房 → 心房中隔の穴 (卵円孔) → 左心房
主に下大静脈からの血液 (酸素が豊富)を左心房に送る - 動脈管 (ボタロー管):肺動脈幹 → 大動脈弓
主に上大静脈からの血液は卵円孔をあまり通らず、右心房から右心室に注ぐ。右心室の収縮により肺動脈幹に流れた血液は動脈管を通り、大動脈弓に流れ込む
胎児循環の切り替わり (p.53)
- 臍動脈 → 臍動脈索
- 臍静脈 → 肝円索
- 静脈管 → 静脈管索
- 卵円孔 → 卵円窩
- 動脈管 → 動脈管索
問題22 内分泌腺の特徴はどれか。
1 導管がみられる。
2 ホルモンを分泌する。
3 分泌腺は標的器官に隣接する。
4 神経性調節より速やかに作用する。
解答 2
外分泌腺と内分泌腺の特徴 (p.123)
- 外分泌腺
- 導管を持つ。
- 分泌物は体表あるいは管腔の中に出される。
- 内分泌腺
- 導管を持たない。
- 分泌物は近傍を走る毛細血管に出される。
この分泌物をホルモンという。 - ホルモンは血流に乗り、離れた場所に運ばれて作用する。
ホルモンにより影響を受ける細胞または器官を標的細胞 (器官)という。
問題23 小円筋と同じ神経に支配される筋はどれか。
1 棘下筋
2 肩甲下筋
3 三角筋
4 大円筋
解答 3
小円筋は腋窩神経支配。腋窩神経は小円筋と三角筋を支配する。
(駅から3分小さい公園)(p.237)
1 棘下筋;棘下窩 → 大結節;肩甲上神経;肩関節外旋
2 肩甲下筋;肩甲下窩 → 小結節;肩甲下神経;肩関節内旋
3 三角筋;肩甲骨の肩峰・肩甲棘・鎖骨外側1/3 → 三角筋粗面;腋窩神経;肩関節外転・屈曲・伸展
4 大円筋;肩甲骨下角 → 小結節稜;肩甲下神経;肩関節の内旋・内転
問題24 大網について正しいのはどれか。
1 上腸間膜動脈が通る。
2 横行結腸に付着する。
3 後方に網嚢が広がる。
4 総胆管が通る。
解答 2
胃間膜と小網・大網 (p.77)
胃の外表面は腹膜でおおわれる。胃の前面をおおう腹膜と後面をおおう腹膜が合わさり、小網・大網と成る。
- 小網 (p.88 小網)
胃の小弯から肝臓に向かう。 - 大網 (p.88 大網)
胃の大弯から前掛けのように腹部内臓の前面に垂れ下がり、折れ返って上昇し、横行結腸に付着し、さらに横行結腸間膜に癒合しながら後腹壁に終わる。
問題25 皮膚の痛覚の伝導路に関係するのはどれか。
1 脊髄前角
2 後索核
3 内側毛帯
4 視床
解答 4
痛覚は外側脊髄視床路により伝えられる。
外側脊髄視床路 (p.133)
痛覚と温度覚は、脊髄神経節細胞の末梢突起が形成する自由神経終末で受容され、中枢突起をへて脊髄の後角に入る。ここで二次ニューロンに後退し、二次ニューロンから出た神経線維は交差して反対側の側索にある外側脊髄視床路を上行して視床に至る。視床で三次ニューロンに乗り換え、その神経線維は内包を通り、大脳皮質の中心後回にある体性感覚野に入る。
- 一次ニューロン
- 自由神経終末 → 脊髄神経節 → 脊髄後角
- 二次ニューロン
- 脊髄後角 → 交叉し反対側の側索を上行 → 視床
- 三次ニューロン
- 視床 → 内包 → 中心後回
1 脊髄前角は前角細胞 (運動神経細胞)がある。錐体路のニューロンが接続し、骨格筋を支配する。
2 後索核は識別性触圧覚並びに深部感覚の伝導路である後索-内側毛帯路の二次ニューロンが存在する。
3 内側毛帯は識別性触圧覚並びに深部感覚の伝導路である後索-内側毛帯路の二次ニューロンが通過する
4 ○ 視床は嗅覚を除く全ての感覚がニューロンを乗り換え、大脳皮質に向かう。
問題26 副交感神経線維を含む神経はどれか。
1 動眼神経
2 滑車神経
3 外転神経
4 副神経
解答 1
副交感神経は脳と仙髄から出る。(p.145–146 副交感神経系)
脳神経に含まれる副交感神経 (ミナトク)
- 動眼神経(p.145, p.310 動眼神経)
- 動眼神経副核 → 網様体神経節 → 瞳孔括約筋・毛様体筋
- 顔面神経(p.146, p.312 顔面神経)
- 上唾液核 → 中間神経 → 大錐体神経 → 翼口蓋神経節 → 涙腺・鼻腺
- 上唾液核 → 中間神経 → 鼓索神経 → 顎下神経節 → 顎下腺・舌下腺
- 舌咽神経(p.146, p.313 舌咽神経)
- 下唾液核 → 耳神経節 → 耳下腺
- 迷走神経(p.146, p.314 迷走神経)
- 迷走神経背側核 → 胸腹部の副交感性自律神経節 → 胸腹部臓器の副交感性支配
骨盤内臓神経(p.146)
- 仙髄の側角 (S2〜S4) → 骨盤内臓器の副交感性支配
- 膀胱壁の平滑筋:収縮(排尿)
- 直腸壁の平滑筋:収縮(排便)
- 陰茎の血管平滑筋:弛緩(海綿体内を充血させ勃起)
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