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2005年 第13回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15~33 解答

目次

2005年 第13回 はり師・きゅう師 (鍼灸師) 国家試験 解剖学 問題15~33 解答

問15 最も伸縮性の高い上皮はどれか。

1 単層扁平上皮
2 重層扁平上皮
3 単層円柱上皮
4 移行上皮

解答 4

移行上皮は伸び縮みできるので、尿を貯める膀胱にピッタリ。でも、膀胱だけではなく、「腎杯・腎盂・尿管・膀胱」の4点セットで必ず覚えよう。

1 単層扁平上皮
薄いので物資の交換に向いている。血管内皮や肺胞上皮など。毛細血管は交換血管であるし、肺胞はガス交換の場だ。他には胸膜・腹膜・漿膜性心膜も単層扁平上皮だ。

2 重層扁平上皮
平べったい細胞が積み重なっていて、摩擦や機械的刺激に強い構造となっている。皮膚(表皮)のほか、消化管の始まり(口腔〜咽頭〜食道)と終わり(肛門)の部分、膣にみられる。

3 単層円柱上皮
細胞の丈が高い(円柱)ということは、細胞小器官を沢山持てるので、ひとつひとつの細胞が何かを合成・分泌したり、吸収したりするのに適している。消化管でいえば、胃・小腸・大腸、女性生殖器では子宮と卵管にみられる。
※ 卵管は単層円柱線毛上皮

4 移行上皮
移行上皮は泌尿器系、腎杯・腎盂・尿管・膀胱にみられる。多列上皮と混同しないように。


問16 血液脳関門の形成に関与するのはどれか。

1 上衣細胞
2 希突起膠細胞
3 星状膠細胞
4 小膠細胞

解答 3

神経膠細胞は細胞の名前と働きをキーワードでしっかりと結びつけて確実に覚えてしまおう。

脳内の毛細血管の内皮細胞同士はタイト結合でしっかりと結合していて隙間がほとんどなく、内容物が周囲に通過しにくい構造となっている。(脳以外の毛細血管は一般的にすこし隙間が開いていて、血液の液体成分(血漿)が、電解質やグルコース、アミノ酸などとともに周辺組織に滲み出ていって組織液となる。)

星状膠細胞は、周囲に星状にたくさんの突起をだし、毛細血管の周りにまとわりついて、血管内よりグルコースを選択的に取り入れて神経細胞(ニューロン)に送る働きをしている。

この、脳内の毛細血管がタイト結合により余計なものを通過させない構造に加えて、星状膠細胞によりグルコースが選択的に取り込まれニューロンに運ばれる仕組みを血液脳関門という。

1 上衣細胞:脳室の内面を覆う
脳室の内面は、上衣細胞という神経膠細胞性の単層立方上皮におおわれる。(p.128 脳室系)

2 希突起膠細胞:(中枢神経にて)髄鞘を形成。
軸索は髄鞘に包まれると伝導速度が速まる。髄鞘の有無により有髄神経無髄神経が区別される。髄鞘は、末梢神経系ではシュワン細胞が軸索のまわりをぐるぐる巻きにしてつくられる。中枢神経系では希突起膠細胞が髄鞘形成にあたる。(p.24 神経細胞)

3 星状膠細胞:血液脳関門
タイト結合は脳内の毛細血管の内皮細胞間に発達し物質の通過を阻止している。(p.11 細胞問結合装置)
星状膠細胞は神経細胞と血管との間に介在し栄養の吸収の仲立ちをし、さらに、血液の中を流れる有害物質が脳内へ侵入するのを阻止する血液脳関門の形成にあずかる。(p.26 神経膠細胞(グリア細胞))

4 小膠細胞:食作用をもつ
小膠細胞はマクロファージと同じく食作用を持ち異物や有害物質の除去にあたる。(p.26 神経膠細胞(グリア細胞))


問17 上腕骨の大結節に停止する筋はどれか。

1 三角筋
2 棘下筋
3 大円筋
4 肩甲下筋

解答 2

  • 大結節
    • 棘上筋
    • 棘下筋
    • 小円筋
  • 小結節
    • 肩甲下筋
  • 結節間溝
    • 上腕二頭筋長頭腱が通過
  • 大結節稜
    • 大胸筋
  • 小結節稜
    • 大円筋
    • 広背筋

1 三角筋
三角筋 (M. deltoideus) は肩関節を外側よりおおう三角形の強大な筋で、鎖骨の外側部1/3、肩峰、肩甲棘から起こり、集まって上腕骨体外側面の三角筋粗面につく。上腕骨を水平位まで、外転する。腋窩神経が支配する。

2 棘下筋
棘下筋 (M. infraspinatus) は肩甲骨の棘下窩より起こり、外方に走り上腕骨大結節につく。上腕を後方に引き外方にまわす。肩甲上神経が支配する。

3 大円筋
大円筋 (M. teres major) は小円筋の下方で肩甲骨下角より起こり前外方に向かい、上腕骨小結節稜につく。上腕骨を後内方に引く。また内方にまわす。肩甲下神経の支配による。

4 肩甲下筋
肩甲下筋 (M. subscapularis) は肩甲骨肋骨面のつくる肩甲下窩より起こり、外方に向かって上腕骨小結節および小結節稜につく。上腕を内転または内方にまわす。肩甲下神経が支配する。


問18 手根管を通過しない筋はどれか。

1 深指屈筋
2 長掌筋
3 長母指屈筋
4 浅指屈筋

解答 2

8個の手根骨は、掌側にくぼんだアーチをつくるように4個ずつ2列の手根列を形成する。このアーチによって手根列の中央にできたくぼみを手根溝という。手根列の橈側端にある舟状骨・大菱形骨と尺側端にある豆状骨・有鉤骨は、手根溝を挟んで掌側に突き出して、それぞれ橈側手根隆起尺側手根隆起をつくる。この橈側・尺側手根隆起を結んで橋渡しする帯状の靱帯が屈筋支帯である。屈筋支帯によって手根溝はふたをされ、狭い筒状手根管になる。手根管は前腕から手掌への入口として、中に長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋と正中神経を通す。手根管の中で腱は滑液鞘(腱鞘)に包まれて走るので、運動時に手根管の中で生じる摩擦が軽減される。屈筋支帯の浅層には尺骨神経と尺骨動脈が通る尺骨神経管(ギヨン管)が位置する。(p.256 屈筋支帯と手根管)

※ 上記の記述では、手根管を通るものとして、「長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋と正中神経」とあるが、第2回 はり師・きゅう師国家試験において橈側手根屈筋が手根管を通るものとして問題にとりあげられたことがある。橈側手根屈筋は屈筋支帯の途中を貫いて屈筋支帯の下に入り込む。手根骨のアーチと屈筋支帯の間を手根管とするならば、橈側手根屈筋も手根管に合流することになる。ここでは、橈側手根屈筋も合わせて手根管を通るものとして覚えておいたほうが良いであろう。

手根管を通るもの
  • 浅指屈筋
  • 深指屈筋
  • 長母指屈筋
  • 橈側手根屈筋
  • 正中神経

1 深指屈筋
深指屈筋 (M. flexor digitorum profundus) は尺骨の前面および前腕骨間膜から起こり、4腱に分かれて第2~第5指末節骨底につく。第2~第5指の末節をまげる。橈側半は正中神経、尺側半は尺骨神経の支配をうける。

2 長掌筋
長掌筋 (M. palmaris longus) は内側上顆から起こり、すぐに細長い腱となり、手掌に扇状に広がり、手掌腱膜をつくる。手根をまげる。正中神経が支配する。

3 長母指屈筋
長母指屈筋 (M. flexor pollicis longus) は橈骨の中部前面から起こり、母指の末節骨底につく。母指末節をまげる。正中神経の支配をうける。

4 浅指屈筋
浅指屈筋 (M. flexor digitorum superficialis) は上記の4筋におおわれ、3頭からなり、上腕(骨)頭は内側上顆より、尺骨頭は尺骨粗面の内上側から、橈骨頭は橈骨の上部前面から起こり、合して長掌筋の下層を下り4腱に分かれて、第2~第5指の中節骨底の掌側面につく。第2~第5指の中節をまげる。正中神経の支配をうける。


問19 腰神経叢の枝によって支配される筋はどれか。

1 梨状筋
2 上双子筋
3 外閉鎖筋
4 大腿筋膜張筋

解答 3

腰神経叢

第12胸神経前枝の下半、第1–3腰神経前枝、第4腰神経前枝の上半から構成される。

  1. 腸骨下腹神経:筋枝を側腹筋群に、皮枝を殿部(外側皮枝)と下腹部(前皮枝)に与える。
  2. 腸骨鼠径神経:筋枝を側腹筋群に与えたのち、精管/子宮円索とともに鼠径管を通って浅鼠径輪を出て、陰嚢/陰唇に分布する。
  3. 陰部大腿神経:大腿枝と陰部枝。前者は大腿前面の皮膚知覚を、後者は男性では精索に伴い陰嚢に至り精巣挙筋と精巣白膜を、女性では子宮円索に伴い陰唇を支配する。
  4. 外側大腿皮神経:筋裂孔を通って大腿外側面の皮膚へ。
  5. 閉鎖神経:閉鎖動脈とともに閉鎖管を貫き、筋枝を恥骨筋を除く内転筋群(薄筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋)に、皮枝を大腿内側面に出す。恥骨筋は大腿神経に支配 されるが稀に閉鎖神経に支配される(2重神経支配)。
  6. 大腿神経:筋裂孔を通って腸恥窩へ。枝として:
    • 筋枝:腸腰筋、大腿の伸筋群(大腿四頭筋、縫工筋)。
    • 前皮枝:大腿前面の皮膚の知覚。
    • 伏在神経:大伏在静脈に伴い、下腿内側より足背内側縁の皮膚の知覚支配

1 梨状筋:仙骨神経叢の枝
梨状筋 (M. piriformis) は仙骨前面から出て外下方に走り、大坐骨孔を通り前方に向かい、大転子につく。大腿を外方にまわす。また外転する。仙骨神経叢の枝をうける。

2 上双子筋:仙骨神経叢の枝
上双子筋 M. gemellus superior は坐骨棘から、下双子筋 M. gemellus inferior は坐骨結節から起こり、内閉鎖筋を上下から挟み転子窩につく。大腿を外方にまわす。仙骨神経叢の枝をうける。

3 外閉鎖筋:腰神経叢 – 閉鎖神経
外閉鎖筋 (M. obturatorius externus) は閉鎖膜の外面およびその周囲の骨部より起こり、大腿骨頸の後ろを通り大腿骨転子窩下部につく。大腿を外方にまわしまた内転する。閉鎖神経の枝をうける。

4 大腿筋膜張筋:仙骨神経叢 – 上殿神経
大腿筋膜張筋 (M. tensor fasciae latae) は大腿筋膜に包まれ上前腸骨棘から起こり、大転子の前方をへて腸脛靭帯にうつり、大腿の外側縁を下り、膝蓋骨の外側で内前方に向かい脛骨粗面につく。大腿を前にあげかつ内旋する。上殿神経をうける。


問20 小腸について誤っている記述はどれか。

1 空腸は腸間膜をもつ。
2 粘膜に半月ヒダがある。
3 腸腺は絨毛の根元に開口する。
4 二層の筋層からなる。

解答 2

1 空腸は腸間膜をもつ。
胃・空・回・横・S・脾・卵巣卵管が腹膜内臓器。このうちの「腸」が腸間膜をもつ。つまり、腸間膜をもつ臓器は、空腸・回腸・横行結腸・S状結腸。

2 × 粘膜に輪状ヒダがある。

小腸の粘膜には内腔に突出し輪状に広がる輪状ヒダが発達する。輪状ヒダは、十二指腸では下方に行くほど増加し、空腸上部で最も発達し、回腸ではヒダは小さく不規則となり、回腸の末端では消失する。

輪状ヒダ・腸絨毛・微絨毛:小腸の特徴
半月ヒダ・結腸ヒモ・結腸膨起・腹膜垂:大腸(直腸を除く)の特徴

3 腸腺は絨毛の根元に開口する。

粘膜の表面には腸絨毛が密生する。腸絨毛は高さが0.5~1.2mmの細い指状の粘膜の突起で、粘膜1mm2あたり約30本、小腸全体では500万本以上となる。腸絨毛と腸絨毛との間に小さな孔が開いていているが、これは管状をした腸腺の開口部にあたる。(p.80 小腸の組織構造と機能 – 粘膜)

4 二層の筋層からなる。

小腸の筋層は平滑筋からなり、内層の筋は輸走し、外層の筋は縦走する。蠕動運動・分節運動・振子運動により、内容は混和されながら下方に向かって移送され、3~6時間かかって大腸へと運ばれる。一般に筋層は空腸の方が回腸よりも発達がよく、活動も活発である。このため空腸では内容物が速やかに輸送され、内腔が空であることが多いので、空腸と呼ばれる。(p.81 小腸の組織構造と機能 – 筋層)


問21 膵臓について正しい記述はどれか。

1 後腹膜器官である。
2 膵尾は十二指腸に付着する。
3 肝臓の下面に隣接する。
4 膵管は幽門に開口する。

解答 1

1 ○ 後腹膜器官である。
十二指腸、膵臓、腎臓、副腎は後腹膜器官。

2 × 膵尾は十二指腸に付着する。
膵頭は十二指腸に付着する。膵尾は膵臓に接する

3 × 肝臓の下面に隣接する
肝臓の下面に隣接しているのは胆嚢。肝臓と膵臓は接していない。

4 × 膵管は幽門に開口する。
膵管は大十二指腸乳頭に開口する。

膵臓は長さ約15cm、重さ70gほどの舌状の実質性器官で、第1・第2腰椎の前を後腹壁に付着して横走する。右から膵頭膵体膵尾の3部に分けられる。右端が少し幅の広くなった膵頭はC字形に曲がった十二指腸に抱きかかえられ、左端の膵尾は脾臓に接する。膵液を集めてきた膵管は総胆管と合流し、大十二指腸乳頭に開口する。膵臓は、外分泌部と内分泌部に分けられる。外分泌部は分泌細胞が1列に並んで腺腔を球状に囲む。この分泌細胞の集まりが、ブドウの房のように分枝した導管の先に連結する。この外分泌性の組織の中に、明るい上皮細胞の集団があちこちに散在する。発見者ランゲルハンス(1868年)の名前をとってランゲルハンス島(膵島)という。その大きさは直径が0.1~0.3mmの球状の構造で、その数は約100万個といわれ、主に膵尾に存在する。(p.87 膵臓)


問22 弾性軟骨はどれか。

1 喉頭蓋軟骨
2 甲状軟骨
3 輪状軟骨
4 気管軟骨

解答 1

1 ○ 喉頭蓋軟骨:弾性軟骨
甲状軟骨の裏側には喉頭蓋軟骨が付着し、舌のように後上方に伸びる。物を飲み込むとき、喉頭軟骨の全体が上方に引き上げられると、喉頭蓋が下がり喉頭上口にふたがかぶせられる。 (p.65 喉頭軟骨)

2 × 甲状軟骨:硝子軟骨

甲状軟骨に関連した覚えておくべきポイント
  • 甲状軟骨は喉頭隆起(のどぼとけ)をつくる
  • 総頸動脈は甲状軟骨上縁の高さで内頸動脈と外頸動脈に別れる
  • 甲状腺は甲状軟骨の前下面に存在する
  • 声帯は披裂軟骨前端から甲状軟骨後面にかけて張る

3 × 輪状軟骨:硝子軟骨

輪状軟骨に関連した覚えておくべきポイント
  • 喉頭の土台をなす
  • 第6頸椎の高さにある
    (輪状軟骨 – 第6頸椎のラインは重要で、呼吸器系では、輪状軟骨の下から気管がはじまり、消化器系ではこのラインより咽頭から食道に移行する。)
  • 食道の第1狭窄部位 (食道起始部・輪状軟骨狭窄部)をつくる
    (下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付着するため)

4 × 気管軟骨:硝子軟骨
気管の壁は約20個の馬蹄形の気管軟骨が積み重なってできている。軟骨を欠く後壁は膜性壁といい、平滑筋と粘膜だけになる。(p.65 気管と気管支)

軟骨組織は軟骨細胞軟骨基質からなるが、基本は線維性結合組織で、それの特殊化した形と考えられる。軟骨表面は密性結合組織の軟骨膜に包まれ、深部に行くに従い膠原線維の間隙を埋めるコンドロイチン硫酸の含有量が増え、軟骨特有の弾力性を生み出す。軟骨基質には血管は存在せず、軟骨膜表面の血管からの浸透により栄養される。軟骨基質に閉じこめられた後も軟骨細胞は分裂を続け、同じ軟骨小腔に2ないし4個の軟骨細胞が見られる。(p.15 軟骨組織)

軟骨は軟骨基質の性状により3種に分けられる。

硝子軟骨

軟骨基質は膠原線維の間に多量のコンドロイチン硫酸を含み、すりガラスのように半透明の乳白色を示す。最も普通に見られる軟骨で、関節軟骨・肋軟骨・気管軟骨がその例としてあげられる。

弾性軟骨

軟骨基質を構成する線維の約30%が弾性線維からなり、弾力性に富む。透明感のある淡い黄色を呈し、耳介軟骨や鼻軟骨の多くがそれにあたる。

線維軟骨

大量の膠原線維が束をつくって走り、その間に軟骨細胞と少量の軟骨基質が存在する最も強靱な軟骨である。脊柱の椎間円板、骨盤の恥骨結合、膝関節の関節半月などに見られる。


問23 前立腺について誤っている記述はどれか。

1 膀胱の下に位置する。
2 腹膜に覆われている。
3 導管は尿道に開口する。
4 腺組織の間に平滑筋が含まれる。

解答 2

1 膀胱の下に位置する。
前立腺は膀胱のすぐ下に位置し先端を下にした栗の実形の腺。

2 × 腹膜に覆われている
腹膜は膀胱と直腸の上部を覆い、両者の間に膀胱直腸窩をつくる。この部位が男性の腹膜でもっとも下端にあたる。前立腺は膀胱の下に位置するので、前立腺が腹膜に覆われるわけはない。
これは当たり前の話なので、教科書やどんな本をみても、前立腺は腹膜に覆われていないとは書かれていない。

3 導管は尿道に開口する。
精管:尿道前立腺部に開口
精嚢:前立腺内で精管(射精管)に合流し、尿道前立腺部に開口
前立腺:尿道前立腺部に開口
尿道球腺:尿道海綿体部に開口

4 腺組織の間に平滑筋が含まれる。
精管・精嚢・前立腺には平滑筋が存在し、射精の際に交感神経の作用で収縮し、それぞれ精子・精嚢分泌物・前立腺液を尿道に押し出す。

前立腺は膀胱のすぐ下に位置し先端を下にした栗の実形の腺で、その中央を尿道が貫き、途中で左右の射精管が尿道に合流する。前立腺自身の導管も尿道に開口する。前立腺液は弱アルカリ性で乳白色を呈し、栗の花のような特有のにおいを持つ。重炭酸塩・亜鉛および大量の酸性フォスファターゼなどを含み、精子の運動を促進する働きがある。 (p.98 精路 – 付属腺)

(注) 尿道周囲にある部分を前立腺の内腺という。内腺は年をとると肥大・増殖し、尿道を圧迫し排尿障害を起こすことがある(前立腺肥大)。尿道から離れた部分は外腺といい、前立腺がんが高頻度に発生する。


問24 子宮について正しい記述はどれか。

1 膀胱の後方に位置する。
2 子宮底で腟につながる。
3 子宮頸管は卵管につながる。
4 子宮筋層は横紋筋からなる。

解答 1

1 ○ 膀胱の後方に位置する。
恥骨結合の後ろより、膀胱 – 子宮 – 直腸 とならぶ
(会陰域では、外尿道口 – 膣口 – 肛門 とならぶ)

2 × 子宮底で腟につながる。
子宮頸で膣につながる。

3 子宮頸管は卵管につながる。
子宮頸管は膣腔につながる。
子宮腔 – 内子宮口 – 子宮頸管 – 外子宮口 – 膣腔

4 子宮筋層は横紋筋からなる。
子宮筋層は平滑筋からなる

子宮

子宮は骨盤の中央に位置し、前方は膀胱に、後方は直腸に接する。大きさは鶏卵大で前後に扁平なナスビ形(長さ7cm、幅4cm、厚さ3cm)をしている。子宮の上2/3は幅広くなって子宮体部といい、その上縁は丸くなり子宮底部という。子宮体部の上部左右には卵管が開く。子宮の下1/3は細く円筒状で子宮頸部という。子宮休部から頭部へ移行する少しくびれた部分を子宮峡部という。子宮頸部の下端は膣の中に突出していて子宮膣部という。子宮腔は三角形でかなり狭く、上部は卵管に通じ、下部は峡部をへて子宮頸管に通じ外子宮口に開く。(p.102 子宮)

子宮壁の構造

子宮壁は厚さ約1. 5cmで、子宮内膜(粘膜)・子宮筋層・子宮外膜(漿膜)の3層からできている。子宮内膜は単層円柱上皮におおわれる。この単層円柱上皮が管状に固有層の中に深く落ち込み、子宮腺(管状腺)が形成される。子宮腺と子宮腺の間を表層に向かって、ラセン状に強く曲がりくねったラセン動脈が上行する。子宮内膜には表層の機能層と深層の基底層が区別される。前者は月経の際にラセン動脈の収縮により貧血におちいり剥離するが、基底層は残り、月経終了後に基底層から粘膜が再生する。子宮筋層は子宮壁で最も厚い層で錯綜する平滑筋よりなる。子宮外膜は、子宮底と子宮体の前・後面のみが漿膜に包まれ、他は周囲の結合組織に移行する。(p.102 子宮壁の構造)


問25 腎臓について誤っている記述はどれか。

1 右腎は左腎より低位にある。
2 糸球体と尿細管とを合わせてネフロンと呼ぶ。
3 ボーマン嚢の一端から遠位尿細管が始まる。
4 後腹膜器官である。

解答 3

この問題は再チェック

1 ○ 右腎は左腎より低位にある。
右側には大きな肝臓があるため、右腎は左腎に比べ1/2腰椎分低い位置にある。

2 × 糸球体と尿細管とを合わせてネフロンと呼ぶ。
腎小体と尿細管を合わせてネフロンという。

3 × ボーマン嚢の一端から遠位尿細管が始まる。
ボーマン嚢の一端から近位尿細管が始まる。

4 ○ 後腹膜器官である。
十二指腸・膵臓、腎臓・副腎は後腹膜器官。

腎臓は腹腔の上部、脊柱の左右で肋骨に半ばかくれるように位置する暗赤色の1対の器官である。その高さは第12胸椎から第3腰椎の範囲にあり、上方に肝臓があるために右腎の方が左腎より1/2腰椎分低い。腎臓は腹膜後器官の1つである。腎臓は上端に副腎を乗せ、共通の脂肪被膜で包まれ保護される。この脂肪被膜のまわりを膜状の腎筋膜がおおう。腎筋膜は上方で横隔膜につながっているので腎臓は呼吸運動とともに上下に移動する。また、腎臓は脂肪組織に包まれているので立位になると少し下がる。脂肪組織が緩くなると腎臓は動きやすくなり、さらに下方まで下がり遊走腎(下垂腎)となる。20~30代のやせた女性に多く見られる。 (p.90 腎臓)

腎臓をつくる主な構成要素は腎小体と尿細管、そして集合管の3つである。腎小体は皮質に散在する直径約0.2mmの球状の小体で、その数は片方の腎臓に約100万個ある。腎小体は、毛細血管が糸玉状に集まった糸球体と、それを包む上皮性のボウマン嚢という薄い袋からなる。ボウマン嚢の一端からは全長が3~4cmにもなる尿細管が始まり、皮質と髄質の間で複雑な走行をとって走る。尿細管は管をつくる上皮細胞の性質と走行とにより、近位尿細管・へンレループ・遠位尿細管に分けられる。尿細管は集まり集合管となって腎乳頭の先端で腎杯に開口する。集合管での水の再吸収は下垂体後葉から分泌されるパゾプレツシン(抗利尿ホルモン)により促進される。糸球体から濾過される原尿は1日に200ℓにもなるが、尿細管を通るうちに再吸収され、実際に尿として排泄されるのは2ℓ以下である。腎臓の機能を果たす基本的な構成単位として、腎小体と尿細管を合わせてネフロンという。 (p.90 腎臓の構造 – 組織構造)


問26 冠状動脈を分枝するのはどれか。

1 上行大動脈
2 大動脈弓
3 胸大動脈
4 肺動脈

解答 1

1 ○ 上行大動脈

上行大動脈の基部からは左右の冠状動脈が出て、心臓を養う。(p.45 上行大動脈および大動脈弓とその枝)

2 × 大動脈弓

大動脈弓からは、胸郭上口を出て上肢と頭頭部へ向かう太い血管、すなわち腕頭動脈左総頸動脈左鎖骨下動脈が順番に出る。大動脈弓の第1枝である腕頭動脈からは、右鎖骨下動脈右総頸動脈が分枝する。
鎖骨下動脈は上肢の動脈に移行するほか、頭頸部や胸壁を養う動脈(椎骨動脈や内胸動脈など)を直接出す。総頸動脈は、甲状軟骨の高さまで枝を出さずに上行した後に、内頸動脈と外頸動脈に分かれる。(p.45 上行大動脈および大動脈弓とその枝)

3 × 胸大動脈

胸大動脈からは、胸壁を養う壁側枝と、心臓以外の胸部内臓を養う臓側枝が出る。壁側枝として左右の肋間動脈が大動脈の両側から対をなして分枝し、各肋間で肋骨の下縁に沿って走る。横隔膜を貫通する直前の大動脈からは、横隔膜を養う壁側枝として上横隔動脈が左右に対をなして出て、横隔膜上面に分布する。
臓側枝としては食道動脈気管支動脈が主に大動脈の前方より出る(左右の対をなさない)。気管支動脈は気管支に沿って肺に進入し、肺の栄養血管になる。(p.46 胸大動脈とその枝)
壁側枝(有対性):肋間動脈、上横隔動脈
臓側枝(無対性):食道動脈、気管支動脈

4 肺動脈

動脈は肺の機能血管である。1本の肺動脈幹として右心室から起こり、大動脈弓のすぐ下でT字型に分かれて左右1対の肺動脈になる。右肺動脈は大動脈弓をくぐって右肺の入口(肺門)に達する。左肺動脈は左気管支とともに左肺の肺門に達する。その後、肺動脈は、それぞれ気管支の枝分かれに伴行して肺の中に進入する。(p.44 肺循環の動脈系)


問27 腹大動脈の枝のうち対をなすのはどれか。

1 上腸間膜動脈
2 下腸間膜動脈
3 腹腔動脈
4 腎動脈

解答 4

1 上腸間膜動脈:主に消化器系に至る臓側枝(無対)
2 下腸間膜動脈:主に消化器系に至る臓側枝(無対)
3 腹腔動脈:主に消化器系に至る臓側枝(無対)
4 腎動脈:泌尿・生殖系に至る臓側枝(有対)

腹大動脈とその枝(p.46 腹大動脈とその枝)

腹大動脈は、1. 腹壁を養う壁側枝、2. 泌尿・生殖器に至る臓側枝、3. 主に腹部消化器系に至る臓側枝を分枝する。
1. 壁側枝
大動脈が横隔膜を貫通した直後に、壁側枝として左右1対の下横隔動脈が出るほか、大動脈の両側から左右に4対の腰動脈(胸部での肋間動脈に相当する)が分枝する。
2. 泌尿・生殖器に至る臓側枝
泌尿・生殖器に至る臓側枝には、腎動脈と性腺動脈(男性では精巣動脈、女性では卵巣動脈)がある。いずれも大動脈の側方から対をなして出る。
腎動脈は、第1腰椎の高さで大動脈の側方に出る1対の太い動脈である。特に右腎動脈は、腹大動脈のすぐ右側を走る下大静脈の深層をくぐって右の腎臓に達する。
精巣動脈(女性では卵巣動脈)は、腎動脈の起始部よりやや下方の高さから分枝する1対の細い動脈で、腹腔の後壁を骨盤の高さまで下行する。精巣動脈は、側腹壁の下縁に開いた鼠径管を通る精索に包まれて精巣に達する。卵巣動脈は、骨盤腔の側壁にできた卵巣提索の中を走って卵巣に到達する。

(注) 性腺動脈の走行は、発生学的に、精巣・卵巣が本来は腎臓の高さにでき、発生が進むとともに下降して骨盤に至ったという軌跡を示している。

  1. 主に消化器系に至る臓側枝
    主に腹部消化器系に分布する臓側枝には腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈の3枝があり、いずれも無対性で、大動脈の前面から出る。
    腹腔動脈は3枝の中で最初に出る動脈であり、横隔膜のすぐ下で起始して、直ちに左胃動脈・脾動脈・総肝動脈に3分枝する。これら腹腔動脈の枝によって、胃から十二指腸・脾臓・肝臓・胆嚢・膵臓を中心とした上腹部の内臓が養われる。
    上腸間膜動脈は腹腔動脈のすぐ下から起こる。この動脈は名前のとおりに腸間膜の中を走って、膵臓や小腸全域から大腸前半部(横行結腸)まで広く分布する。
    下腸間膜動脈は上腸間膜動脈よりもさらに下方から出て、大腸後半部(下行結腸から直腸)に分布する。
    上下の腸間膜動脈は腸間膜の中でアーチのような吻合を二重三重につくる。これにより腸管運動によって一部の血管が圧迫されても血行障害を起こしにくい。

壁側枝(有対):腰動脈・下横隔動脈
泌尿・生殖器への臓側枝(有対):腎動脈・性腺動脈(精巣動脈、卵巣動脈)
腹部消化器への臓側枝(無対):腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈
腹大動脈の下端は第4腰椎の高さであり、ここで左右の1対の総腸骨動脈とその間の細い正中仙骨動脈に分岐する。


問28 下垂体について誤っている記述はどれか。

1 トルコ鞍の中に位置する。
2 腺性下垂体と神経性下垂体からなる。
3 前葉には下垂体門脈系の血液が注ぐ。
4 後葉には後葉ホルモン産生細胞がある。

解答 4

1 ○ トルコ鞍の中に位置する。
下垂体は脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がり、頭蓋骨底のトルコ鞍のくぼみに収まる小指頭大の器官。(p.108 下垂体)

2 ○ 腺性下垂体と神経性下垂体からなる。
発生起源の異なる腺性下垂体神経性下垂体の2つの部分からなる。(p.108 下垂体)
腺性下垂体は胎生期に原始口腔の天井の一部が上方に伸びてできた部分で、上皮性の腺細胞の集まりよりなる。腺性下垂体は前部を占める前葉と、その後ろに位置する中間部と、そして上方に伸びた隆起部の3部に区分される。前葉では腺細胞が索状または塊状に集まり、その間を内腔の拡大した毛細血管が網状に走る。(p.109 腺性下垂体)
神経性下垂体は第3脳室底の突出によって生じた神経組織であり、後葉とそれを視床下部につなげる漏斗からなる。(p.110 神経性下垂体)

3 ○ 前葉には下垂体門脈系の血液が注ぐ。
視床下部にはいろいろな前葉ホルモンの分泌を調節する中枢(隆起核など)がある。その中枢にある神経細胞は分泌を促進する放出ホルモンあるいは分泌を抑制する抑制ホルモンがあり、それらは細胞の突起をへて隆起部の第一次毛細血管網に分泌される。これらの視床下部のホルモンは下垂体門脈系により前葉に運ばれ、前葉細胞に作用して前葉ホルモンの分泌を調節する。(p.109 腺性下垂体 – 前葉)

4 × 後葉には後葉ホルモン産生細胞がある。
視床下部には後葉ホルモン産生細胞がある。
後葉には腺細胞はなく視床下部にある神経核(視索上核・室傍核)で生成され神経線維の中を下降してきた後葉ホルモンが、ここに蓄積され放出される。神経細胞が分泌作用を営むことを神経分泌をいう。神経分泌により生成される後葉ホルモンにはオキシトシンとバゾプレッシンの2つがある。オキシトシンは子宮と乳腺の平滑筋を収縮させる作用があり、分娩が促進され陣痛促進剤として用いられる。バゾプレッシンは腎臓の集合管での水の再吸収を促進する。その結果、尿量が減少するので抗利尿ホルモン(ADH)ともいわれる。(p.110 神経性下垂体)


問29 感覚性伝導路と中継核との組合せで誤っているのはどれか。

1 視覚———内側膝状体
2 平衡覚———前庭神経核
3 味覚———孤束核
4 体性感覚———視床

解答 1

1 × 視覚———内側膝状体
視覚情報は外側膝状体で中継される。

網膜の光受容体である視細胞の興奮は、双極神経細胞(一次ニューロン)をへて、神経節細胞(二次ニューロン)に伝えられ、その軸索が集まって視神経となる。視神経は頭蓋内に入ると視神経交叉をつくる。視神経交叉では網膜の鼻側半からきた線維だけが交叉する。交叉線維と非交叉線維が集まって視索となり、外側膝状体に達する。ここから出た三次ニューロンは、内包の後部を通って視放線をつくり、後頭葉の視覚野に達する。視索の線維の一部は中脳の上丘に送られ、瞳孔反射に関係する。(p.133 上行性伝導路)

2 ○ 平衡覚———前庭神経核

平衡感覚は内耳の前庭器官で受容される。前庭神経は脳幹の前庭神経核に入り、前庭神経核からの線維は大部分が小脳に入り、大脳皮質に向かう線維はごく少なく、平衡感覚はほとんど意識されることはない。(p.133 上行性伝導路)

3 ○ 味覚———孤束核

舌の味蕾で受容された味覚刺激は顔面神経舌咽神経によって延髄の孤束核に伝えられ、視床をへて大脳皮質の味覚野に終わる。味覚野は中心後回の下部にあるといわれる。 (p.133 上行性伝導路)

4 ○ 体性感覚———視床

体性感覚には皮膚感覚深部知覚とがある。皮膚感覚は痛覚・温度覚(冷覚と温覚)・触圧覚の3種類があり、対応する感覚受容器として、痛覚と温度覚には自由神経終末、触圧覚にはマイスネル小体やパチニ小体など、深部知覚には筋紡錘が知られる。

外側脊髄視床路

痛覚と温度覚は、脊髄神経節細胞の末梢突起が形成する自由神経終末で受容され、中枢突起をへて脊髄の後角に入る。ここで二次ニューロンに交代し、二次ニューロンから出た神経線維は交叉して反対側の側索にある外側脊髄視床路を上行して視床に至る。視床で三次ニューロンに乗り換え、その神経線維は内包を通り、大脳皮質の中心後回にある体性感覚野に入る。(p.133 上行性伝導路)

長後索路

マイスネル小体やパチニ小体などの感覚受容器で信号化された触圧覚は、一次ニューロンである脊髄神経節細胞の末梢突起から中枢突起をへて脊髄に入り、同側の後索を上行して延髄に達し、後索核で二次ニューロンに交代する。後索核で交代した二次ニューロンの神経線維は交叉して反対側に入り、内側毛帯をつくって、延髄、橋の背側部、中脳被蓋の腹外側を上行して視床に達し、三次ニューロンに接続する。視床から起こる三次ニューロンの線維は内包を通り、大脳皮質の中心後回にある体性感覚野に入る。(p.133 上行性伝導路)


問30 仙骨神経叢から出るのはどれか。

1 腸骨下腹神経
2 閉鎖神経
3 陰部神経
4 大腿神経

解答 3

1 腸骨下腹神経:腰神経叢(T12・L1)
腸骨下腹神経はT12とL1が合流して構成される。肋間神経と同様に腹壁をまわりながら腹筋を支配するほか、腸骨稜の直上に外側皮枝、下腹部に前皮枝を出す。(p.290 腰神経叢)

2 閉鎖神経:腰神経叢(L2~4)
閉鎖神経はL2~4が合流して構成される。大腰筋の筋束間を下行し、大腰筋内側下縁から骨盤腔に達する。骨盤の側壁を閉鎖動静脈とともに走り、閉鎖孔の内側上方(恥骨上枝の下縁)にある閉鎖管を貫通して大腿内側に至り、外閉鎖筋および内転筋群の各筋に支配枝を出す。また、筋枝を出した後は皮枝として大腿内側の皮膚に分布する。(p.290 腰神経叢)

3 陰部神経:仙骨神経叢(S2~4)
陰部神経はS2~4に由来する。梨状筋下孔から出た後、小坐骨孔を通って骨盤底に達して、会陰部の筋および皮膚を支配する。(p.292 仙骨神経叢)

4 大腿神経:腰神経叢(L2~4)
大腿神経はL2~4が合流してできる腰神経叢最大の枝である。大腰筋とともに下行し、筋裂孔を通って大腿三角に至る。大腿三角より下で縫工筋および大腿四頭筋に筋枝を出すほか、皮枝として大腿前面に分布する前皮枝および伏在神経を分枝する。
伏在神経は、大腿動静脈とともに内転筋管を通る途中で大内転筋と内側広筋の間に張る筋膜を貫通し皮下に出る。鵞足付近で膝蓋下枝および内側下腿皮枝となって下腿内面や足背内側の感覚を担う。(p.290 腰神経叢)


問31 頸静脈孔を通らないのはどれか。

1 顔面神経
2 舌咽神経
3 迷走神経
4 副神経

解答 1


1 顔面神経 VII:内耳孔
2 舌咽神経 IX:頸静脈孔
3 迷走神経 X:頸静脈孔
4 副神経 XI:頸静脈孔

内頭蓋底のアナと通過する脳神経の組み合わせは番号で覚えると効率良い。

篩骨篩板:I
視神経管:II
上眼窩裂:III, IV, V1, VI
正円孔:V2
卵円孔:V3
内耳孔:VII, VIII
頸静脈孔:IX, X, XI
舌下神経管:XII

篩骨篩板はI 嗅神経
II 視神経 視神経管とおるのアタリマエ。
上眼窩裂はサンシーゴノイチロク、
内耳孔ナナハチ、
頸静脈孔キュージュージュウイチ、
XII 舌下神経 舌下神経管通るのアタリマエ。
残るはV2、V3。正に上顎、下顎にタマゴ。

問32 滑車神経によって支配される筋はどれか。

1 内側直筋
2 下斜筋
3 下直筋
4 上斜筋

解答 4

1 内側直筋:動眼神経 III
2 下斜筋:動眼神経 III
3 下直筋:動眼神経 III
4 上斜筋:滑車神経 IV

外眼筋の支配神経は
上斜筋:滑車神経 IV外側直筋:外転神経 VI を覚えて、それ以外は全部 動眼神経 III

IV:滑車神経(運動性)

中脳の滑車神経核から始まり中脳の背面より出てから前方へ回り、上眼窩裂を通って眼窩に入り、上斜筋を支配する。眼球を内側方へ回転し瞳を外下方へ向げる。(p.310 脳神経)


問33 内部に有毛細胞が存在しないのはどれか。

1 半規管膨大部
2 平衡斑
3 ラセン器
4 鼓室階

解答 4

1 半規管膨大部
半規管は互いに直交する面上に弧(ループ)を描く3本の半円周形の管からなり、それぞれその途中に膨大部というふくらみがある。膨大部の内面には膨大部稜という有毛感覚細胞の直線状の高まりがあり、身体の回転運動の方向と加速度を感じる。(p.156 半規管)

2 平衡斑
前庭は内耳の中央の部分で、その側壁にある前庭窓によって鼓室に接し、前方に蝸牛、後方に半規管が位置する。前庭には膜迷路に属する球形嚢卵形嚢という2つの袋があり、その内面には平衡斑と呼ばれる感覚装置がある。平衡斑には丈の高い有毛細胞があり、炭酸カルシウムの結晶である平衡砂をのせたゼリー状の平衡砂膜が表面をおおっている。身体の傾きおよび直進する方向とその加速度を感じる。(p.156 前庭)

3 ラセン器
蝸牛は文字通りカタツムリの殻に似ていて、蝸牛軸をラセン管が2巻き半取り巻いている。ラセン管の横断面をみると、その内部は2階だてになっており、1階の鼓室階と2階の前庭階に分かれ、その間に中2階として膜迷路に相当する蝸牛管が仕切られている。蝸牛管の床の基底板上にある上皮細胞は丈が高くなり、ラセン器(コルチ器)を形成し音を感受する。蝸牛神経は蝸牛軸内でラセン神経節をつくりラセン器に分布する。
鼓膜を震わせた音の振動は耳小骨を通じて前庭窓に達し、前庭階を満たす外リンパの液体の振動に変えられる。外リンパの振動は蝸牛の前庭階を昇りつめると鼓室階に移り、鼓室階を下る。すなわち、両階は蝸牛の頂部で連絡し外リンパで満たされ、蝸牛窓で消失する。この外リンパの振動は中2階をなす蝸牛管の内リンパに伝えられ、その振動はラセン器の有毛細胞を刺激して音を感受する。(p.154 蝸牛)

4 鼓室階
鼓室階は骨迷路と膜迷路の間の外リンパで満たされる部位で、有毛細胞をもつ感覚受容装置は存在しない。

部位で内耳を分けると、蝸牛、前庭、半規管に分けられる。蝸牛は聴覚、前庭は直進方向の加速度と身体の傾き、半規管は回転運動の加速度を感じる。そしてポイントは有毛細胞がある部位名だ。

部位名 感覚受容装置 感覚
蝸牛 コルチ器(ラセン器) 聴覚
前庭 平衡斑 直進方向の加速度と身体の傾き
半規管 膨大部稜 回転運動の加速度

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この記事を書いた人

黒澤一弘(株式会社SBCHAプラクシス代表・つむぐ指圧治療室・東京都立大学 解剖学実習非常勤講師)
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師などの国家試験に向けた解剖学の知識向上を応援します。初学者にも分かり易く、記憶に残りやすい講座を心がけています。

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