小脳にみられるのはどれか (2013年 鍼灸 問題27)
1 × オリーブ:延髄
延髄は長さ約3cmの円柱形で、上に行くに従い太さを増す。前面で正中線を挟んで左右に錐体という縦に長い盛り上がりが続き、その外側にオリーブという楕円形の隆起が見られる。錐体は大脳皮質から下行する錐体路 (皮質脊髄路) が通過し、オリーブはオリーブ核を内部に入れる。オリーブ核は赤核・小脳・脊髄と線維連絡を持ち、錐体外路性の運動調節に関与する。延髄下部の背側には脊髄から後索が伸び、その内部には後索核が含まれる。(p.121 延髄)
2 × 黒質:中脳
中脳は腹側の大脳脚、中央部の被蓋、背側の中脳蓋 (四丘体) からなり、被蓋背側を中脳水道という細い管が走る。黒質は中脳被蓋にあり、主として筋の緊張の調節を行っている。(p.123 中脳)
黒質は神経伝達物質としてドーパミンを用いている。黒質から線条体に投射するドーパミンニューロンの変性・脱落によりパーキンソン病が引き起こされる。(生p.243 パーキンソン病)
3 × 赤核:中脳
赤核は、その神経細胞が鉄を含むために赤く見え、黒質はメラニン色素を含むために黒く見える。赤核と黒質は、大脳基底核とともに、骨格筋の意識にのぽらない協調的な運動(錐休外路系)に関与する。赤核が障害されると骨格筋の緊張に異常が起こり、落ち着きのない不随意運動が起こる。(p.123 中脳)
4 ◯ 歯状核:小脳
小脳核は内側より外側に向かい、室頂核、球状核と栓状核、歯状核と並んでいる。歯状核は小脳核の中で発生学的に一番新しく、小脳半球の外側部と結合している。
大脳の後下面に接し、橋と延髄の背面にかぶさるように小脳は隆起する。大きさはこぶし大で、重さは脳重量の約10%(130g)くらいである。小脳は、左右の大きな小脳半球と、正中部で小脳半球の間にはさまれて縦方向に広がる虫部とが区別され、上・中・下3対の小脳脚で、中脳・橋・延髄と連結している。小脳の表面には多数の深い溝が整然と横に走っている。大脳の溝と比べると、間隔が狭く、数が多く、平行であることが目立つ。
小脳の表層は小脳皮質という灰白質におおわれ、深部は小脳髄質という白質が占める。小脳皮質には分子層・プルキンエ細胞層・顆粒層の3層が表面に平行に規則正しく並ぶ。深部の小脳髄質には、小脳核(歯状核など)の灰白質が含まれる。
小脳は、大脳からの運動指令を受けて、体位や平衡などの身体のあらゆる情報を照合して運動が円滑に行われるように調整する。(p.123 小脳)(注) 小脳が障害されると、運動の方向・速度・範囲・大きさなどが的確に調節できなくなり、まとまった運動がうまくできなくなる(小脳性運動失調)。歩くと酔っぱらいのようにふらつき、体のバランスが取れなくなる(失調歩行)。
(参考) 小脳の神経連絡
小脳皮質への入力は、苔状線維と登上線維の2種類からなる。苔状線維は橋核(運動情報)や胸髄核(脊髄からの深部感覚)、前庭神経核(前庭感覚)からの情報が入力し、小脳核と小脳皮質の顆粒細胞に終止し、これらに興奮性のシナプス結合をする。
顆粒細胞は次いでプルキンエ細胞、バスケット細胞(籠細胞)、星状細胞、ゴルジ細胞に興奮性シナプス結合をし、バスケット細胞はプルキンエ細胞の細胞体に、星状細胞はプルキンエ細胞の樹状突起に、ゴルジ細胞は顆粒細胞に、それぞれ抑制性のシナプス結合をする。登上線維は延髄の下オリーブ核からの情報が入力し、下小脳脚を通って対側の小脳核と小脳皮質のプルキンエ細胞に終わり、これらに興奮性のシナプス結合をする。
小脳皮質からの唯一の出力はプルキンエ細胞の軸索突起により送り出され、小脳核(主に歯状核)に抑制性の結合をする。(小脳皮質の出力信号はすべて抑制性)
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