舌の外観と舌乳頭の種類
舌は分界溝を境にして前2/3の舌体、後ろ1/3の舌根に分けられる。
舌乳頭
舌背粘膜には4種類の舌乳頭が存在する。
- 糸状乳頭
舌苔の背面全域に存在。表層の上皮は角化し白く見える。舌をザラザラにして、食物をなめとりやすくし、また舌の感覚を鋭敏にする働きがある。糸状乳頭には味蕾が存在しない。 - 茸状乳頭
糸状乳頭の間に散在。生体では赤い粒として見える。味蕾が存在。 - 有郭乳頭
分界溝の前に8~12個ほど並ぶ大きな乳頭。側面に味蕾が存在。 - 葉状乳頭
舌体の側面に4~5本みられる粘膜ヒダ。 側面に味蕾が存在。
糸状乳頭
舌背部の全域に分布している。
舌表面にビロード状の外観を与える。先端にある上皮の角化により舌全体が白っぽく見える。舌をざらざらにして食物を舐めとりやすくし、また舌の感覚を鋭敏にする働きがある。
茸状乳頭
舌背部で糸状乳頭の間に散在している。大きく、丸味を帯びる。上皮が角化しないので桃赤色を呈する。表面に味蕾が存在。
有郭乳頭
舌根部に近く分界溝の前に1列に並ぶ8〜12個の大きな乳頭。個々の乳頭は深い溝で固まれる。この溝の側壁に多数の味蕾がある。
舌根部は全体として舌扁桃となる
分界溝より後方を舌根部といい、舌小胞という多数の膨らみからなる。内部にはリンパ小節を多数含み、舌根部全体が舌扁桃として働く。
葉状乳頭
舌体の後部側面にある、垂直に走る数条の粘膜ヒダを葉状乳頭といいます。葉状乳頭もヒダの側面に味蕾をもちます。
【関連問題】
舌について誤っている記述はどれか (2003 第11回 鍼灸 問題22)
1 糸状乳頭の上皮は角化する
2 舌根は咽頭の前壁の一部である
3 内舌筋の支配神経は舌咽神経である
4 舌扁桃は分界溝より後方にある
解答 3
○ 1 糸状乳頭の上皮は角化する
糸状乳頭のみ角化し、かつ味蕾をもちません。
○ 2 舌根は咽頭の前壁の一部である
舌根は舌の後方より咽頭のほうに落ち込んでいますので、咽頭の前壁の一部とみなすことができます。
× 3 内舌筋の支配神経は舌下神経である
舌筋の支配神経は舌下神経と覚えていたとしても、わざわざ「内舌筋の支配神経は」と限定されて問われると、「もしかして舌咽神経なのかも??」と不安になってしまうかもしれません。ですが、ここは惑わされずに「舌筋の支配神経は舌下神経」です。
○ 4 舌扁桃は分界溝より後方にある
分界溝より後方を舌根部といい、舌根部全体が舌扁桃となっています。
味蕾が存在しないのはどれか (2006 第14回 柔整 問題57)
1 糸状乳頭
2 茸状乳頭
3 葉状乳頭
4 有郭乳頭
解答 1
糸状乳頭のみが味蕾をもたず、角化しています。
舌の分界溝の前に一列に並ぶのはどれか (2006 第14回 鍼灸 問題21)
1 糸状乳頭
2 茸状乳頭
3 有郭乳頭
4 葉状乳頭
解答 3
1 糸状乳頭
舌背全面に広がり、上皮の角化により舌全体が白っぽく見えます。
2 茸状乳頭
糸状乳頭の間に散在し、大きく、丸味を帯びる。上皮が角化しないので桃赤色を呈します。
○ 3 有郭乳頭
舌根部に近く分界溝の前に1列に並ぶ812個の大きな乳頭で、個々の乳頭は深い溝で固まれます。
4 葉状乳頭
舌体の後部側面にあって、垂直に走る数条の粘膜のヒダです。
消化管で誤っているのはどれか (2011 第19回 柔整 問題43)
1 有郭乳頭は舌分界溝の前にある
2 胆汁は大十二指腸乳頭から出る
3 オッディ括約筋は胃の幽門部にある
4 パイエル板は回腸にある
解答 3
○ 1 有郭乳頭は舌分界溝の前にある
有郭乳頭は分界溝の前に並んでいます。特徴のある部位に存在するのでよく問題に出されます。しっかり覚えておいてください。
○ 2 胆汁は大十二指腸乳頭から出る
× 3 オッディ括約筋は十二指腸下行部 大十二指腸乳頭にある
総胆管と主膵管が合わさり十二指腸下行部の大十二指腸乳頭 (ファーター乳頭) に開口します。大十二指腸乳頭の開口部にはオッディ括約筋があり、胆汁と膵液の分泌調節を行っています。
○ 4 パイエル板は回腸にある
パイエル板 (集合リンパ小節) があるのは回腸のみで、孤立リンパ小節は小腸全域にあります。これも非常によく出題されますので、確実に覚えておいてください。
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