問題演習
問題一覧
【一問一答】7.1.2 内分泌系 – 視床下部・下垂体系
【下垂体の位置と構成】
下垂体が収まるトルコ鞍の下垂体窩は ( 骨) にある
篩骨
蝶形骨
後頭骨
(解答) 蝶形骨
下垂体は脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がり、中頭蓋窩で蝶形骨のトルコ鞍のくぼみ(下垂体窩)に収まります。(中頭蓋窩・蝶形骨トルコ鞍の下垂体窩)
下垂体前葉は ( 性下垂体) に属する
腺性下垂体
神経性下垂体
(解答) 腺性下垂体
下垂体前葉は発生学的・組織学的に腺性下垂体に属します。腺性下垂体は胎生期に原始口腔の天井の一部が上方に伸びてできた部分で、上皮性の腺細胞の集まりよりなります。
腺性下垂体は前部を占める前葉と、その後ろに位置する中間部、そして上方に伸びた隆起部の3部に区分される
○
×
(解答) ○
腺性下垂体は前部を占める前葉と、その後ろに位置する中間部、そして上方に伸びた隆起部の3部に区分されます。
※ 中間部はメラニン細胞刺激ホルモンが分泌され、メラニン色素の合成促進の作用がありますが、ヒトでは生理的機能が不明な点もあり、あまり気にしなくてもいいと思います。
【視床下部ホルモン】
視床下部のホルモンは下垂体 ( 葉ホルモン) の分泌調節を行う
前葉ホルモン
後葉ホルモン
(解答) 前葉ホルモン
視床下部のホルモンは下垂体前葉ホルモンの分泌調節を行います。視床下部からのホルモンは隆起核などで産生され、下垂体隆起部の第一次毛細血管網に分泌されます。これらの視床下部のホルモンは下垂体門脈により前葉に運ばれ、前葉細胞に作用して前葉ホルモンの分泌を調節します。
下垂体前葉ホルモン | 視床下部ホルモン | |
---|---|---|
放出ホルモン | 抑制ホルモン | |
成長ホルモン (GH) |
成長ホルモン放出ホルモン (GRH) |
成長ホルモン抑制ホルモン (GIH) |
プロラクチン (PRL) |
プロラクチン放出ホルモン (PRH) |
プロラクチン抑制ホルモン (PIH) |
甲状腺刺激ホルモン (TSH) |
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH) |
ー |
副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) |
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH) |
ー |
卵胞刺激ホルモン (FSH) |
性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) |
ー |
黄体形成ホルモン (LH) |
視床下部より分泌され下垂体前葉からの成長ホルモンの放出を促すホルモンは ( ) である
GIH
GRH
CRH
(解答) GRH
成長ホルモン放出ホルモン (GRH:growth hormone-releasing hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、成長ホルモン(GH)の分泌を促します。
視床下部より分泌され下垂体前葉からの成長ホルモンの放出を抑制するホルモンは ( ) である
GnRH
PIH
GIH
(解答) GIH
成長ホルモン抑制ホルモン (GIH:growth hormone-inhibiting hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、成長ホルモン(GH)の分泌を抑制します。
視床下部より分泌され下垂体前葉からのプロラクチンの放出を促すホルモンは ( ) である
PRH
PIH
PRL
(解答) PRH
プロラクチン放出ホルモン (PRL:prolactin releasing hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、プロラクチン(PRL)の分泌を促します。
視床下部より分泌され下垂体前葉からのプロラクチンの放出を抑制するホルモンは ( ) である
GnRH
PIH
PRL
(解答) PIH
プロラクチン抑制ホルモン (PRL:prolactin-inhibiting hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、プロラクチン(PRL)の分泌を抑制します。
視床下部より分泌され下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモンの分泌を促すホルモンは ( ) である
TSH
TRH
ACTH
(解答) TRH
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH:thyrotropin-releasing hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid-stimulating hormone)の分泌を促します。
thyroid-stimulating hormone = thyrotropin
視床下部より分泌され下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促すホルモンは ( ) である
ACTH
CRH
GnRH
(解答) CRH
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH:corticotropin-releasing hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、副腎皮質刺激ホルモン(TSH:thyroid-stimulating hormone)の分泌を促します。
視床下部より分泌され下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌を促すホルモンは ( ) である
ACTH
GnRH
FSH
(解答) GnRH
FSHとLHを合わせて性腺刺激ホルモン (gonadotropin) といいます。性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH:gonadotropin-releasing hormone) は下垂体門脈により下垂体前葉に運ばれ、卵胞刺激ホルモン (FSH:follicle-stimulating hormone) と黄体形成ホルモン (LH:luteinizing hormone) の分泌を促します。
【下垂体前葉】
下垂体前葉から分泌されるホルモンは ( 種類) である
4種類
6種類
8種類
(解答) 6種類
下垂体前葉から分泌されるホルモンは6種類です。
部位 | ホルモン | 作用 | 分泌異常 |
---|---|---|---|
前葉 | 成長ホルモン (GH) | 骨の成長, 蛋白質の同化促進 | 不足:小人症 過剰:巨人症 (成長期),末端肥大症 (成人) |
プロラクチン (PRL) | 乳腺に作用し乳汁産生 | 不足:母乳不足 過剰:高プロラクチン血症 |
|
甲状腺刺激ホルモン (TSH) | 甲状腺ホルモンの分泌促進 | 不足: 甲状腺機能低下症 過剰: 甲状腺機能亢進症 |
|
副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) | 副腎皮質ホルモンの分泌促進 (特に糖質コルチコイド) |
不足:アジソン病,(副腎皮質機能不全) 過剰:クッシング病,(ACTH産生下垂体腺腫) |
|
卵胞刺激ホルモン (FSH) | 女性:卵胞の発育促進、LHと協調してエストロゲンの分泌促進 | 不足:性機能低下 | |
男性:精子形成の促進 | |||
黄体刺激ホルモン (LH) | 女性:排卵誘発, 黄体形成促進 | ||
男性:ライディッヒ細胞に作用しテストステロンの分泌促進 | |||
中間部 | メラニン細胞 刺激ホルモン(MSH) | メラニン色素の合成促進 | |
後 葉 | バゾプレッシン (ADH) | 腎集合管に作用し, 水の再吸収促進 | 不足:尿崩症 |
オキシトシン | 子宮収縮, 射乳反射 |
下垂体から分泌され骨の成長やタンパク質の同化を促進させるホルモンは ( ) である
PRL
TSH
GH
(解答) GH
骨の成長やタンパク質の同化を促進させるホルモンは成長ホルモン(GH:growth hormone) です。
※ ホルモンに関しては略称(成長ホルモン → GH)もしっかりと覚えておいてください。例えば副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンなどは名称が長すぎてほとんど使われません。CRH (croticotropin releasing hormone) と略称で使われる場合がほとんどです。最初のうちはホルモンの日本語名の記述をみたら、自分で略称をふる習慣をつけると良いと思います。習慣化すれば、そのうち自然と覚えられます。
下垂体から分泌され乳汁産生を促すホルモンは ( ) である
TSH
PRL
ACTH
(解答) PRL
乳汁産生を促すホルモンはプロラクチン (PRL:prolactin) です。
下垂体から分泌され、甲状腺からのホルモン分泌を促すホルモンは ( ) である
ACTH
FSH
TSH
(解答) TSH
下垂体から分泌され、甲状腺からのホルモン分泌を促すホルモンは甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid-stimulating hormone)です。
【下垂体後葉】
下垂体後葉は ( 性下垂体) に属する
腺性下垂体
神経性下垂体
(解答) 神経性下垂体
下垂体後葉は発生学的・組織学的に神経性下垂体に属します。第三脳室底の突出によって間脳の下部が伸びて生じた神経組織でできています。
下垂体後葉から分泌されるホルモンは ( 種類) である
2種類
4種類
6種類
(解答) 2種類
下垂体後葉から分泌されるホルモンはオキシトシンとバソプレッシンの2種類です。
下垂体後葉ホルモンは下垂体後葉で産生される
○
×
(解答) ×
オキシトシンとバソプレッシンは下垂体後葉ホルモンですが、産生されるのは視床下部です。視床下部の室傍核・視索上核で産生され、神経の軸索内を輸送されて下垂体後葉で放出されます。
下垂体後葉より分泌され子宮収縮、射乳反射を引き起こすホルモンは ( ) である
バソプレッシン
オキシトシン
プロラクチン
(解答) オキシトシン
オキシトシンは下垂体後葉より分泌され、子宮収縮 (陣痛促進)、射乳反射を引き起こします。
プロラクチン:乳汁産生
オキシトシン:射乳反射
下垂体後葉より分泌されるバソプレッシンは腎集合管からの ( ) の再吸収を促進する
水
ナトリウムイオンと水
(解答) 水
バソプレッシンは腎集合管からの水の再吸収を促進し尿量を減らす働きがあり、抗利尿ホルモン (ADH:antidiuretic hormone) とも言われます。
バソプレッシン:水のみ
アルドステロン:Na+と水
尿崩症とはバソプレッシンの過剰により尿量が極端に減少する症状をいう
○
×
(解答) ×
バソプレッシンの不足、もしくは作用不全により著しい多尿をきたす症状を尿崩症といいます。薄い尿が大量にでて、尿量は一日に5ℓにも達します。
次の問題
[clink url=”https://www.anatomy.tokyo/oqoa/【一問一答】7-1-3-内分泌系-松果体/”]
[clink url=”https://www.anatomy.tokyo/oqoa/【一問一答】目次/”]
- 【一問一答】7. 内分泌系
- 7.1.1 内分泌系 – 内分泌系とは・ホルモンの分類
- 7.1.2 内分泌系 – 視床下部・下垂体系
- 7.1.3 内分泌系 – 松果体
- 7.1.4 内分泌系 – 甲状腺と上皮小体
- 7.1.5 内分泌系 – 副腎皮質と副腎髄質
- 7.1.6 内分泌系 – 膵臓 内分泌部
[dfads params=’groups=1121&limit=1&orderby=random’]
[dfads params=’groups=1124&limit=1&orderby=random’]
コメント