眼球の構造について正しい記述はどれか (2012年 あマ指 問題33)
1 ○ 虹彩は水晶体の前面にある。
眼房についてもチェックしておこう。角膜と虹彩の間の空間を前眼房、また虹彩と水晶体の間の空間を後眼房といい、眼房水で満たされている。(p.151 眼房と眼房水)
2 × 毛様体は硝子体の厚みを調節している。
毛様体は水晶体の厚みを調節している。
毛様体は脈絡膜の前方に続く海綿様に肥厚した部分で、これから内方に伸びる毛様体小帯 (チン小帯) という細い線維は水晶体を支える。毛様体の中には平滑筋性の毛様体筋があり、水晶体のふくらみを調節し、焦点の位置を変える。(p.149 毛様体)
毛様体筋は動眼神経の副交感線維に支配され、毛様体筋が収縮すると毛様体小帯が緩んでそれにつながる水晶体の厚みが増して屈折力が増す。毛様体筋が弛緩すると、逆の過程で水晶体は薄くなり、屈折力は経る。(生p.271 遠近の調節)
3 × 眼球壁の外層は脈絡膜からなる。
眼球壁の外層は眼球線維膜の部位で、前1/6が角膜、後5/6が強膜である。
4 × 視神経乳頭は光に最も敏感な部分である。
中心窩とその周囲の黄斑は光に最も敏感な部分である。
中心窩ならびにその周囲の黄斑が最も視力の良い部位で、視神経乳頭は神経節細胞層の軸索があつまり視神経として眼球をでていく部位なので、その部位には視細胞が存在しないため光を感じない (盲点)。
眼球壁の構造 (p.148 眼球)
- 眼球壁の外層 (線維膜)
- 強膜
眼球の後ろ5/6を包む。滑らかで強靭な線維性の結合組織でできている (密性結合組織) 。血管がないため白色で、その後部は視神経を包む膜に移行する。- 角膜
強膜から続く線維性の無色透明や約1mmの厚さの膜で、眼球の前1/6を包む。その表層は結膜から続く重層扁平上皮の角膜上皮でおおわれている。血管がないため栄養は主として眼房水から供給される。三叉神経の枝 (眼神経) が分布して、異物が入ると強い痛みを訴える。- 眼球壁の中層 (血管膜)
- 脈絡膜
強膜の内面にある暗褐色の薄膜で、メラニン色素細胞と血管に富む柔軟な結合組織層である。これは眼球内部を暗室とし、光の乱反射を防ぐのに役立っている。- 毛様体
脈絡膜の前方に続く海綿様に肥厚した部分で、これから内包に伸びる毛様体小帯 (チン小帯) という細い線維は水晶体を支える。また毛様体内面の上皮細胞からは眼房水が産生される。- 虹彩
毛様体から起こり、水晶体の前方でこれを周囲から縁取るように存在する。カメラの絞りにあたるもので、中心の小孔は瞳孔 (直径3~6mm) と呼ばれる。虹彩は血管、神経、色素細胞に富み、その内部は輪層する瞳孔括約筋と放射状に走る瞳孔散大筋の2種類の平滑筋があり、眼球に入る光量の調節を行っている。- 眼球壁の内層(網膜)
網膜と呼ばれる部分で、光の刺激を神経の興奮に変えて視神経に伝える。網膜は3層の神経組織からなる神経層 (視細胞層、双極細胞層、神経節細胞層) とその外層の色素上皮層からなる。網膜は光を感じる後半部の網膜視部と、毛様体・虹彩の内面をおおうが光を感じない網膜網部とに分けられ、その境界は鋸状縁といわれる。視神経がでていく部位はややくぼんでおり、ここを視神経円板または視神経乳頭といい、視細胞が存在しないため光を感じない。視神経円板の約4mm外側には黄色の丸い部 (直径約2mm) すなわり黄斑がある。黄斑の中央部はくぼんで中心窩といわれ、物を注視するときに焦点の合う場所で、視力の最も良いところである。
光を感じる視細胞はいちばん深層、すなわち脈絡膜側にある。その突起の形から錐体と杆体の2種類に区別され、光を感覚するのは突起の先端の外節と呼ばれる場所である。錐体は中心窩の付近に存在し、約650万個の細胞からなり、明暗の識別に関係している。網膜の最外層には単層立方上皮よりなる色素上皮層があり、細胞は暗褐色の色素顆粒を含み、光の乱反射を防ぐとともに視細胞の機能維持に役立っている。
2012年 第20回 あん摩マッサージ指圧師国家試験 解剖学の問題はこれで終わりです。おつかれさまでした。
次は是非、第20回 はり師・きゅう師国家試験にチャレンジしてみてください。
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