骨で岬角があるのはどれか (2014年 あマ指 問題18)
1 × 胸骨
上から胸骨柄、胸骨体、剣状突起。胸骨体と胸骨柄との間の結合部位を胸骨角という。胸骨角には第2肋骨が付着することが国家試験によく出る。
2 × 寛骨
腸骨+坐骨+恥骨=寛骨。この問題の岬角に関連して知識を広げるとすれば、岬角(仙骨) 、弓状線(腸骨) 、恥骨櫛、恥骨結合上縁のラインを分界線といい、大骨盤と小骨盤の境界をなすことを知っておくと良いだろう。大骨盤は腹部内臓を容れ、小骨盤は骨盤臓器を容れる。つまり分界線より下、小骨盤か真の骨盤であり、小骨盤に囲まれる空間を骨盤腔という。
3 ○ 仙骨
仙骨上部は仙骨底。仙骨底の前縁で突出している部分を岬角という。仙骨は5つの仙椎が癒合してできたもので、癒合部に4本の横線がみられる。また仙骨孔も4対ある。仙骨孔が4対なので、仙骨神経も4対だと勘違いしやすいが、仙骨神経は5対ある。第5仙骨神経は仙骨と尾骨の間からでる。
4 × 大腿骨
大腿骨でまずおさえたいのは、大転子と小転子だろう。大転子には中殿筋、小殿筋、梨状筋が停止する。また小転子には腸腰筋が停止する。中殿筋・小殿筋はともに股関節を外転させる作用があり、外側に出っ張っている大転子を腸骨の方に引き寄せることにより股関節外転作用を及ぼす。梨状筋は股関節外旋筋であり、大転子上端に付着し大転子上端を仙骨前面に引き寄せることにより股関節を外旋させる。さて、ここで同じく股関節を外旋させる上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋は大転子の内側面にある凹みの転子窩に停止する。外閉鎖筋は閉鎖神経支配で内転筋群に分類されるが、同じく転子窩に停止し股関節の内転作用と外旋作用を合わせ持つ。また大腿方形筋は大転子と小転子を結ぶ線である転子間稜に停止する。よって股関節を外旋させる筋は6つあり、深層外旋六筋といわれる。
岬角の岬は「みさき」。海や湖に突き出した陸地が岬(みさき)だ。寛骨と仙骨は骨盤をつくる。仙骨の上部、仙骨底の前面の淵は骨盤腔という湖に突き出た岬のように見える。だから 岬角。 ところで、仙骨は上部に「底」があることは分かっているだろうか?日本語で「底」といえは、下にあると思いがちであるが、解剖学で「底」と言う場合、三角形や円錐形のような形の広い方の面を指すことがある。上に「底」がある霊としては、仙骨底、膝蓋骨底、子宮底、胃底、心底などがある。
仙骨は、骨盤部の脊柱である。思春期まで軟骨結合であった5個の仙椎は、成人になると外側に付属する肋骨片とともに癒合し、1個の仙骨となる。仙骨は上部が大きく、下方は急激に細くなり、逆三角形をしている。これは体幹の体重を一手に支えてきた脊柱が、仙骨下半部では荷重を骨盤の寛骨に受け渡して小さくなったためである。仙骨上面は、逆三角形の底辺に当たるので仙骨底といい、第1仙椎の椎体上面がその主要部をなし、前端を岬角という。仙骨の尖った下端は仙骨尖と呼ぶ。
仙椎の各椎体は癒合することで椎間円板を失い、その結合部は仙骨前面に4本の横線として残る。一方、癒合によって仙椎後面の棘突起や椎間関節はそれぞれ縦に連なって、棘突起は正中仙骨稜を、椎間関節は中間仙骨稜を形成する。椎孔も癒合しあって仙骨管をつくる。仙骨管は脊柱管の続きであり、仙骨の前面・後面にそれぞれ4対の前・後仙骨孔を通じて外に開き、仙骨管の下端は仙骨裂孔で終わる。仙骨裂孔の左右両側には仙骨角という盛り上がりができる。仙骨角は体表から殿裂の奥に触れる。
また仙椎の癒合によって脊髄神経(仙骨神経)が通る椎間孔も仙骨内に取り込まれ、仙椎間には、仙骨前面に前仙骨孔、仙骨後面に後仙骨孔が各4対できて、仙骨神経前枝と後枝がそれぞれ別々に通る。
仙骨の外側面は広く拡大して、寛骨の一部(腸骨)と関節する(仙腸関節)。関節面はL字型の耳状面であり、その後方には仙腸靱帯がつく仙骨粗面がある。仙腸関節は関節面に凹凸があって、さらにその周囲を厚く強固な仙腸靱帯につながれるので、運動性はほとんどない(半関節)。腸骨と関節する仙骨外側部は、本来、肋骨に相当する部分である。(p.175 仙骨)
※ この問題には詳細解説もあります。さらに理解を深めたい場合にどうぞ。
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