頭蓋で下顎骨が関節をなすのはどれか (2013年 鍼灸 問題17)
1 × 口蓋骨
口蓋骨は、上顎骨の直後にあって、水平と垂直の板からなるL字型の骨で、左右1対ある。水平板は口蓋の後方部、垂直板は鼻腔の側壁後方部をつくる。口蓋骨の後縁は蝶形骨の翼状突起と連結する。
2 × 上顎骨
上顎骨は、複雑な形をした左右1対の大きな骨である。左右の上顎骨が合して、顔面の中央部を形成することで、眼窩・鼻腔・口蓋の構成に大きく関与する。
眼窩の下壁と鼻腔の側壁をつくるのは体部であり、内部に、大きく広がる上顎洞がある。体部の前方には、眼窩下孔が開く。
体部からは前頭骨と結合する前頭突起、頬骨と結合する頬骨突起、歯の並ぶ歯槽突起、口腔の天井をなす口蓋突起の4つの突起が出る。左右の口蓋突起が合して、骨口蓋の主体をなし、その縫合線の上に切歯孔が開く。また、口蓋突起の後縁では口蓋骨と縫合をなし、縫合部には大口蓋孔が開く。
3 ○ 側頭骨
側頭骨は、頭蓋の外側壁をなす左右1対の複雑な形をした骨である。発生学的には3つの部分、すなわち、鱗部・鼓室部・岩様部からなる。これら3部が癒合して単一の骨となるのは生後1年ほど経ってからである。
鱗部は、扁平で丸い輪郭を持った“うろこ”のような部分で、外耳孔の上前方部に広がる。上部は鱗状縫合により頭頂骨と接して頭蓋冠の一部をなし、前方部からは、頬骨と結合するための頬骨突起が伸びて、頬骨弓の後半部をなす。頬骨突起の基部下面には下顎窩がある。下顎骨の関節突起の先端が下顎頭して丸くなり、下顎窩にはまって顎関節を形成する。
鼓室部は、雨どいのような半管状の小さな骨で、外耳道および鼓室の底をなす。
岩様部は錐体部と乳突部からなる。錐体部は後頭骨と蝶形骨大翼との間を内側前方に伸び、上面は内頭蓋底の錐体となって隆起して中頭蓋窩と後頭蓋窩を仕切る。表面には内耳孔が開き、内部に内耳(蝸牛・前庭・半規管)をおさめるほか、頸動脈管が貫通する。一方、乳突部は錐体部の外側下方に大きく膨隆して、鱗部の後方に達し、側頭骨外面で乳様突起をつくる。乳様突起は耳の後方に触れ、体表上の目印になるほか、内部には鼓室から続く乳突蜂巣という多数の小胞が広がる。
さらに、岩様部の下面からは、下前方に茎状突起が伸びる。その基部には茎乳突孔が開く。
外耳孔を入り、外耳道を通ると鼓室に突き当たる。鼓室は中耳の主体をなし、3個の耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)が並ぶ。鼓室の前方は耳管に、後方は乳突蜂巣に続く。鼓室の壁の奥には、内耳が存在する。
4 × 蝶形骨
蝶形骨は、頭蓋腔の中央に位置する骨で、チョウが羽を広げたような形をしている。中央部はチョウの胴体に対応し、蝶形骨体という。体の上面にはトルコ鞍がある。体の前方は後鼻孔の上縁をなし、体の内部には鼻腔と連絡する1対の蝶形骨洞がある。体の後方は後頭骨と結合し斜台を構成する。
体の両脇からは、左右1対の小翼と大翼が伸びる。小翼は前頭蓋窩の後縁をなし、基部には視神経管が開く。大翼は中頭蓋窩の主体である。小翼よりも下方に位置するので、小翼との間に上眼窩裂が開く。また、大翼には正円孔・卵円孔・棘孔が開く。
下方にも1対の翼状突起が伸びる。翼状突起は鼻腔の外側壁の後方部をつくり、突起の基部には翼突管が開く。
顎関節
顎関節は、下顎骨の関節突起先端の下顎頭が側頭骨の下顎窩にはまって関節をなしたもので、左右1対ある。関節内には主に線維軟骨でできた関節円板があって、関節包に付着する。関節包は緩く、外側・内側で靱帯によって補強される。機能的に、顎関節は左右の1対が共同して働く。その運動は以下の3つに分けられる。(p.210 頭部の関節・顎関節)
- 上下運動:口の開閉であり、食物を噛み切る動作である。
- 前進-後退:下顎頭を前に引き出す動作は、開口のきっかけとなる。このとき、下顎頭とともに関節円板も前に引き出される。
- 側方への回旋:咀嚼の際の磨り潰し運動である。
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