静脈について正しいのはどれか (2014年 あマ指 問題29)
1 × 腎静脈は門脈に注ぐ。
腎静脈は下大静脈に注ぐ。
脾静脈 + 上腸間膜静脈 + 下腸間膜動脈 → 門脈 → (肝臓) → 小葉間動脈 → 洞様毛細血管 → 中心静脈 → 肝静脈 → 下大静脈(p.50 門脈系, p84 肝小葉)
2 ○ 肋間静脈は奇静脈に注ぐ。
胸壁の静脈血は肋間静脈より奇静脈系に集められて上大静脈に注ぐ。(p.49 門脈系)
3 × 下大静脈は正中線より左にある。
上大静脈も下大静脈も正中線より右にある。よって左腎静脈と左腕頭静脈は右に比べて長くなることも同時に覚えよう(p.50 下大静脈に注ぐ枝)
4 × 左腕頭静脈は腕頭動脈の後ろを横切る。
左腕頭静脈は腕頭動脈の前を横切る。
上大静脈は大動脈弓より右を走行する。左腕頭静脈は右腕頭静脈に比べて長く水平位に近い走行をとる。また一般的に静脈は動脈より浅層を走る。以上のことより左腕頭静脈は腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈の前を横切って走行する。(p.49 上大静脈に注ぐ枝 (注)
(1) 上大静脈に注ぐ枝(p.49 上大静脈に注ぐ枝)
上大静脈は、左右の腕頭静脈(頭頸部と上肢の静脈)と奇静脈(胸壁の静脈)を集めて構成され、上行大動脈の右側で右肺動脈の前を下って右心房に入る。
左右の腕頭静脈は、それぞれY字型に内頸静脈と鎖骨下静脈が合流してできる。特に内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部を静脈角と呼ぶ。右の静脈角には右上半身のリンパを集めた右リンパ本幹が、左の静脈角には左上半身と全下半身のリンパを集めた胸管がそれぞれ注ぐ。腕頭動脈は右側にしかなかったが、腕頭静脈は左右にあることに注意する。(注) 発生の際に上大静脈が大動脈よりも右側に形成されるので、上大静脈に至る左の腕頭静脈は右側のものよりも長く、水平位に近い走行をとる。よって、左腕頭静脈は腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈の前を横切って走行する。
奇静脈系は、後胸壁の静脈を集めて脊柱の両側を縦に走る奇静脈・半奇静脈・副半奇静脈の3本からなる。奇静脈は脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集めながら上行して、上大静脈の後面に注ぐ。左の肋間静脈は脊柱の左側を走る半奇静脈と副半奇静脈に集められる。これらはそれぞれ、脊柱の前を横断して右側を走る奇静脈に合流する。また、奇静脈系には食道静脈なども注ぎ、後述する門脈系の側副循環路になる。
(2) 下大静脈に注ぐ枝(p.49 下大静脈に注ぐ枝系)
下大静脈は、下半身の静脈の本幹である。第5腰椎の前で左右の総腸骨静脈が合流して始まり、途中に腰静脈や腎静脈などを受けながら腹大動脈の右側を上行する。上腹部では肝臓の後方部に食い込み、ここでは数本の短い肝静脈が流入する。その後、横隔膜の腱中心に開いた大静脈孔を貫通して直ちに右心房に接続する。
腎静脈には、左右の腎臓と下大静脈の位置関係によって左右差がある。下大静脈が正中線よりも右にあり、右腎は下大静脈に近いので、その腎静脈は短い。それに比べて左腎は下大静脈から遠く、左腎静脈は腹大動脈の前を横切って下大静脈に注ぐので長い。しかも、その途中で左の性腺静脈(精巣静脈や卵巣静脈)が合流する。右の性腺静脈は右腎静脈よりも下方で下大静脈に直接注ぎ込む。
※ この問題には詳細解説もあります。さらに理解を深めたい場合にどうぞ。
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