肩甲骨に付着する筋とその付着する部位との組合せで正しいのはどれか (2013年 鍼灸 問題20)
1 × 棘上筋 ───── 肩峰 棘上窩
棘上窩 → 大結節;肩甲上神経;肩関節の外転(p.237 表10–13 上肢帯の筋)
棘上筋は肩甲骨の棘上窩から起こり、外側に走り上腕骨大結節につく。上腕骨を外転させる。肩甲上神経が支配する。
2 × 小円筋 ───── 関節下結節 肩甲骨外側縁
肩甲骨外側縁 → 大結節;腋窩神経;肩関節の外旋(p.237 表10–13 上肢帯の筋)
小円筋は棘下筋におおわれて肩甲骨外側縁から起こり、外方に走り上腕骨大結節につく。上腕を後方に引き外方にまわす。腋窩神経が支配する。
3 ◯ 小胸筋 ───── 烏口突起
第2~5肋骨 → 烏口突起;内側胸筋神経・外側胸筋神経;呼吸補助筋(p.211 表10–3 浅胸筋)
小胸筋は大胸筋の下層にあり、第2~第5肋骨の前面から起こり、外上方に走り肩甲骨の烏口突起につく。肩甲骨を前下方に引く。肩甲骨を固定するときは肋骨を引き上げる。これも胸筋神経支配の筋である。
4 × 小菱形筋 ──── 下角 肩甲骨内側縁上部
第6・7頸椎棘突起 → 肩甲骨内側縁上部;肩甲背神経;肩甲骨を上内包に引く(p.220 表10–9 浅背筋)
菱形筋は僧帽筋におおわれる薄い菱形の筋で、頸椎より起こる小菱形筋と、胸椎から起こる大菱形筋とがある。筋全体として起始は、第6頸椎以下第4胸椎の棘突起、項靱帯から起こり斜めに外下方に走り、肩甲骨内側縁下部に停止する。作用は、肩甲骨を内上方に引く。肩甲背神経をうける。
肩甲骨は、逆三角形をした扁平な骨である。三角形の頂点部分は、上角・下角・外側角であり、三角形の3辺は上縁・内側縁・外側縁に相当する。
肩甲骨の上角には、肩甲骨を引き上げる肩甲挙筋がつく。肩甲骨の下角は、前鋸筋など肩甲骨を回旋させる筋の集中があって厚い。肩甲骨の外側角は特に肥厚し、先端は浅い丸皿のような関節窩として上腕骨と肩関節をなす。関節窩の上端に関節上結節、関節窩の下端には関節下結節があり、それぞれ上腕二頭筋と上腕三頭筋がつく。また、関節窩の上方からは、前方に曲がった烏口突起が出る。肩甲骨の上縁で、烏口突起の基部には、肩甲切痕があり、肩甲上神経を通す。
肩甲骨の前面は浅くくぼんだ肩甲下窩で、肋骨に面する。肩甲骨の後面には、肩甲棘が斜め上方に向かって出る。肩甲棘の外側端は関節窩よりもさらに外側上方に出て、肩関節の頂上で肩峰となって体表から明瞭に触れる。肩甲棘によって肩甲骨の後面は棘上窩と棘下窩に区分される。結局、肩甲骨の前後面には、棘上窩・棘下窩・肩甲下窩という3つのくぼみができ、これらの3窩は肩甲骨を前後から挟んで上腕骨に向かう筋により埋められる。(p.179 肩甲骨)
肩甲骨 scapula
- 三角形の扁平な骨。
- 肋骨面と背側面の2面がある。
- 肋骨面 costal surface:前面。全体としてくぼむ (肩甲下窩 subscapular fossa)。
- 背側面 dorsal surface:後面。
- 肩甲棘 spine of scapula:後面の上 1/3を横に走る高い隆起。肩甲棘により背側面は棘上窩と棘下窩に分かれる。
- 肩峰 acromion:肩甲棘が外方に遊離、突出した部分。ここに鎖骨に対する関節面がある (肩峰関節面 clavicular facet of scapula)。 [体表]肩峰は体表から良く触れる。
- 内側縁、外側縁、上縁の3縁を区別する。
- 肩甲切痕 scapular notch:上縁にある切れ込み。肩甲上神経、肩甲上動・静脈が通る。
- 上角、下角、外側角の3角を区別する。
- 関節窩 glenoid cavity:外側角にある大きな関節面。上腕骨頭が関節する。
- 肩甲頸 neck of scapula:関節窩の内方のやや細くなった部分。
- 関節上結節 supraglenoid tubercle:関節窩の上方にある小隆起。上腕二頭筋の長頭が起こる。
- 関節下結節 infraglenoid tubercle:関節窩の下方にある小隆起。上腕三頭筋の長頭が起こる。
- 烏口突起 coracoid process:烏口腕筋と上腕二頭筋短頭の起始。小胸筋の停止。
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