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神経叢で副交感神経線維を含むのはどれか (2013年 鍼灸 問題28)

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神経叢で副交感神経線維を含むのはどれか (2013年 鍼灸 問題28)

1 × 頸神経叢:第1~4頸神経(C1~4) 前枝からなる。
2 × 腕神経叢:第5頸神経から第1胸神経までの前枝からなる(C5~T1) 。
3 × 腰神経叢:第12胸神経(T12) 、第1~4腰神経(L1~4) の前枝によって構成される。
4 ○ 仙骨神経叢:第4腰神経前枝は腰神経叢に参加する以外にも、第5腰神経前枝と合流して腰仙骨神経幹となって骨盤腔に至り、第1~4仙骨神経(S1~4) 前根とともに仙骨神経叢をつくる。副交感神経線維を含む脊髄神経は骨盤内臓神経 (S2~S4)なので、仙骨神経叢のみ副交感神経線維を含む。


  • 交感神経胸腰髄 (T1~L2/3) の側角に起始ニューロンがある。(p.145 交感神経)
  • 副交感神経脳幹 (脳神経 III, VII, IX, X)仙髄 (S2~4) の側角 (中間質) に起始ニューロンがある。(p.145 副交感神経)

自律神経系(p.144 自律神経系)

自律神経の特徴は次のようにまとめることができる。
(1) 自律神経系は、心筋・平滑筋の運動や腺の分泌を支配する神経であり、これらの構造は意識にのぼることなく自動的に調節される。
(2) 自律神経系は交感神経系副交感神経系とに大別される。臓器は通常、交感神経と副交感神経の二重支配を受け、その働きは相反する拮抗的な作用である。
(3) 自律神経は中枢を出ると目的臓器に達するまでに、必ず一度ニューロンを交代する。交代のための神経細胞が集まっているところを自律神経節という。中枢にある神経細胞を節前ニューロン、それから出る線維が節前線維、途中の神経節にある神経細胞を節後ニューロン、神経節細胞から末梢臓器に至る線維を節後線維という。
(4) 神経終末はシナプスで神経伝達物質を分泌して、接触する神経細胞や臓器(平滑筋・分泌腺)に興奮を伝える。神経伝達物質として、交感神経系では節前線維終末はアセチルコリンを、節後線維終末はノルアドレナリンを分泌する。副交感神経系では節前線維も節後線維もその終末からはアセチルコリンを分泌する。

交感神経系(p.144 交感神経系)
  1. 交感神経幹
    交感神経の節前ニューロン(交感神経中枢)は、脊髄(胸髄)の側角に位置する。脊柱の両脇には縦に長く伸びる交感神経幹がある。交感神経幹は、約20個の節前細胞の集まる幹神経節が、その間を連結する神経線維の束()により数珠玉のようにつながれてできている。それぞれの交感神経節は、脊髄神経と短い2本の交通枝でつながれている。頸部の交感神経幹・神経節は特に発達する。
  2. 節前線維と節後線維
    節前ニューロンは胸髄腰髄(T1~L2または3) から起始し、その線維は前根を経由して脊髄神経に合流する。白交通枝を通って交感神経幹に入った後、交感神経幹内で節前線維は以下のような3方向に分かれる。
    i) 各分節にある交感神経節で節後ニューロンに交代し、灰白交通枝を通って再び脊髄神経に戻り、脊髄神経を経由して末梢に分布する。
    ii) 同分節の交感神経節よりも上位(あるいは下位)分節の幹神経節まで上行(下行)して、節後ニューロンに交代する。上行したものは頸部、下行したものは骨盤部の交感神経幹を構成する。
    iii) 一旦、交感神経幹に入るものの、交感神経節で、ニューロンを替えずに、節前線維のまま交感神経幹の前方へ出て内臓神経になる。内臓神経は大動脈から出る臓器の動脈基部で神経節(腹腔神経節上腸間膜動脈神経節下腸間膜動脈神経節)をつくって節後ニューロンに交代する。その後、血管に伴行して各臓器に至る。
副交感神経系(p.145 副交感神経系)

副交感神経の節前ニューロンは、脳幹のいくつかの神経核と脊髄(仙髄)の側角に位置する。脳神経や骨盤内臓神経として中枢を出た節前ニューロンの線維は、支配する臓器の近くにある神経節、または臓器の中にある神経叢(アウエルバッハの神経叢など)で節後ニューロンに交代し平滑筋や分泌腺を支配する。

A) 脳神経に含まれる副交感神経
  1. 動眼神経
    中脳の動眼神経副核から起始した節前ニューロンは、動眼神経に混ざって眼窩に入り、毛様体神経節で節後ニューロンに代わる。節後ニューロンは眼球内に入り、毛様体筋と瞳孔括約筋を支配する。
  2. 顔面神経
    橋の上唾液核から起始した節前ニューロンは、顔面神経に混ざって内耳孔に入り大きく2つに分かれる。
    i) 大錐体神経として頭蓋底を走った後、蝶形骨の翼突管を通って翼口蓋窩に達し、ここで節後ニューロンに交代する(翼口蓋神経節)。節後ニューロンは涙腺や鼻粘膜の腺に分布する。
    ii) 鼓索神経として中耳を横断した後、下顎神経の枝(舌神経)に合流し、舌の下方で節後ニューロンに交代する(顎下神経節)。節後ニューロンは舌下腺・顎下腺に分布する。
  3. 舌咽神経
    橋の下唾液核から起始した節前ニューロンは舌咽神経に混ざって鼓室神経小錐体神経を経由した後、耳神経節で節後ニューロンに交代する。節後ニューロンは耳下腺に分布する。
  4. 迷走神経
    延髄の迷走神経背側核に起始した節前ニューロンは、迷走神経に混ざって頸・胸・腹部(骨盤内臓以外)の全内臓に分布する。節後ニューロンに交代するのは各臓器に散在する神経節である(腸管の筋層間のアウエルバッハ神経叢など)。
B) 骨盤内臓神経(S2~4)

骨盤部の副交感神経である。節前ニューロンは、仙髄の側角から起始し、仙骨神経に混ざって前仙骨孔から出る。その後、各骨盤内臓に分布して、主に臓器壁内で節後ニューロンに交代する。膀胱壁の平滑筋(排尿)、直腸壁の平滑筋(排便)を収縮させるほか、陰茎の血管を弛緩・拡張させ、陰茎海綿体内を充血させることで勃起に関与する。

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この記事を書いた人

黒澤一弘(株式会社SBCHAプラクシス代表・つむぐ指圧治療室・東京都立大学 解剖学実習非常勤講師)
鍼灸師、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師などの国家試験に向けた解剖学の知識向上を応援します。初学者にも分かり易く、記憶に残りやすい講座を心がけています。

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