皮静脈の走行について正しい記述はどれか (2012年 あマ指 問題28)
1 × 橈側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
尺側皮静脈は上腕二頭筋の内側を通る。
尺側皮静脈は、上腕二頭筋内側縁を上行し、腋窩の下縁付近から深部の静脈 (上腕静脈あるいは腋窩静脈) に注ぐ(p.258 上肢の静脈)
2 × 尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
橈側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
橈側皮静脈は、上腕二頭筋外側縁の上方から三角筋の前縁に沿って上行し、三角筋前縁と大胸筋外側縁と鎖骨の下縁とで囲まれたくぼみ (鎖骨胸筋三角、三角筋胸筋溝、別名、鎖骨下窩) から腋窩内に入って腋窩静脈に注ぐ。(p.258 上肢の静脈)
3 ○ 大伏在静脈は内果の前方を通る。
足の静脈網の内側縁から起始し、内果の前を通って下腿内側を上行する。さらに膝蓋骨の内側縁より約4横指後方を縦走して大腿内側部に達し、そのまま大腿三角まで上行する。大腿三角の内側部では大腿筋膜にできた伏在裂孔を貫通して大腿静脈に合流する。(p.288 大伏在静脈)
4 × 小伏在静脈は外果の前方を通る。
小伏在静脈は外果の後方を通る。
足の静脈網の外側縁から起始し、外果の後方を通って下腿後面の皮下を上行する。膝窩で下腿の筋膜を貫通して、深層に走る膝窩静脈に注ぐ。(p.289 小伏在静脈)
上肢の皮静脈
上肢の末端である手では、複数の皮静脈が吻合しあって静脈網を形成する。特に手背の皮下には、手背静脈網が観察できる。手の静脈網の形態には個人差があり、他人と一致することはない。最近では指紋のように個人識別の手段として採用されている。前腕から肘部になると皮静脈は徐々に太くまとまって、橈側皮静脈・尺側皮静脈の2本の皮静脈に統合される。一般に肘窩では、橈側皮静脈と尺側皮静脈を斜めに連絡しあう静脈が認められる。この静脈を肘正中皮静脈といい、臨床的には静脈注射や採血の際によく用いられる。ただし皮静脈の発達には個人差が大きく、この静脈が判別しにくいこともある。
橈側皮静脈と尺側皮静脈は、上腕部でそれぞれ上腕二頭筋の外側縁と内側縁を走る。橈側皮静脈は、上腕二頭筋外側縁の上方から三角筋の前縁に沿って上行し、三角筋前縁と大胸筋外側縁と鎖骨の下縁とで固まれたくぼみ(鎖骨胸筋三角、別名、鎖骨下窩)から腋窩内に入って腋窩静脈に注ぐ。尺側皮静脈は上腕二頭筋内側縁を上行し、腋窩の下縁付近から深部の静脈(上腕静脈あるいは腋窩静脈)に注ぐ。(p.258 上肢の静脈)下肢の皮静脈
下肢の末端である足では複数の皮静脈が吻合しあう。特に足背の皮下には発達した足背静脈網が、足底にも静脈網がそれぞれ形成される。下肢の皮静脈はこれらの静脈網から始まる2本の皮静脈に統合されて深静脈に還流される。すなわち静脈網の内側縁から始まる大伏在静脈と、外側縁から始まる小伏在静脈である。(p.288 下肢の静脈)
大伏在静脈
足の静脈網の内側縁から起始し、内果の前を通って下腿内側を上行する。さらに、膝蓋骨の内側縁より約4横指後方を縦走して大腿内側部に達し、そのまま大腿三角まで上行する。大腿三角の内側部では大腿筋膜にできた伏在裂孔を貫通して大腿静脈に合流する。
小伏在静脈
足の静脈網の外側縁から起始し、外果の後方を通って下腿後面の皮下を上行する。膝窩で下腿の筋膜を貫通して、深層に走る膝窩静脈に注ぐ。(注) 大伏在静脈は、心臓の冠状動脈などが閉塞したときのバイパス手術に自家移植されることがある。また、大・小伏在静脈は静脈瘤を起こしやすい。うっ血が起こった場合、伏在静脈は蛇行しながら腫脹し、ふくらはぎに静脈瘤を形成する。立仕事、妊娠、血栓性静脈炎の際に、静脈瘤を生じることが多い。
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