下垂体について正しいのはどれか (2016年 鍼灸 問題25)
1 × 第4脳室底部に突出する
下垂体は脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がる。(p.108 下垂体)
位置としては視床下部の下(神経性下垂体は第3脳室底の突出によって生じる)。第4脳室は延髄上部・橋と小脳の間に位置する。
2 ○ 腺性下垂体は前方に位置する
下垂体前葉=腺性下垂体、下垂体後葉=神経性下垂体。 (p.108–110 下垂体)
3 × 神経性下垂体は咽頭に由来する
腺性下垂体は胎生期に原始口腔の天井の一部が上方に伸びてきててきる(ラトケ嚢)。神経性下垂体は第3脳室底の突出によって生じた神経組織でできる。 (p.109 腺性下垂体, p.110 神経性下垂体)
4 × 下垂体ホルモンは下垂体門脈系により標的器官に達する
下垂体門脈は視床下部ホルモンを下垂体前葉に運ぶ。(p.110 下垂体門脈系)
下垂体は脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がり、頭蓋骨底のトルコ鞍のくぼみに収まる小指頭大の器官で、発生起源の異なる腺性下垂体と神経性下垂体の2つの部分からなる。
1) 腺性下垂体(p.109 腺性下垂体)
腺性下垂体は胎生期に原始口腔の天井の一部が上方に伸びてできた部分で、上皮性の腺細胞の集まりよりなる。腺性下垂体は前部を占める前葉と、その後ろに位置する中間部と、そして上方に伸びた隆起部の3部に区分される。前葉では腺細胞が索状または塊状に集まり、その間を内腔の拡大した毛細血管が網状に走る。
前葉の腺細胞は色素に対する染色性の違いから酸好性細胞・塩基好性細胞・色素嫌性細胞に区別され、さらに電子顕微鏡による微細構造の違いや、免疫組織化学的検査法により6種類に分類される。このような分類はそれぞれの腺細胞が分泌するホルモンの違いを反映しており、前葉ホルモンの6種類に対応する。
- 下垂体門脈系
腺性下垂体では大脳動脈輪からの枝が隆起部に入り第一次毛細血管網をつくる。そのあと数本の小静脈となり隆起部を下降して前葉に達し、ここで第二次毛細血管網をつくる。一次と二次の毛細血管網の間に介在する小静脈は一種の門脈と考えられ、腺性下垂体では下垂体門脈系が形成される。 - 視床下部による調節
前葉の働きはさらに上位にある間脳の視床下部の支配を受けている。視床下部にはいろいろな前葉ホルモンの分泌を調節する中枢(隆起核など)がある。その中枢にある神経細胞は分泌を促進する放出ホルモンあるいは分泌を抑制する抑制ホルモンがあり、それらは細胞の突起をへて隆起部の第一次毛細血管網に分泌される。これらの視床下部のホルモンは下垂体門脈系により前葉に運ばれ、前葉細胞に作用して前葉ホルモンの分泌を調節する。
2) 神経性下垂体(p.110 神経性下垂体)
神経性下垂体は第3脳室底の突出によって生じた神経組織であり、後葉とそれを視床下部につなげる漏斗からなる。後葉には腺細胞はなく視床下部にある神経核(視索上核・室傍核)で生成され神経線維の中を下降してきた後葉ホルモンが、ここに蓄積され放出される。神経細胞が分泌作用を営むことを神経分泌をいう。神経分泌により生成される後葉ホルモンにはオキシトシンとバゾプレッシンの2つがある。オキシトシンは子宮と乳腺の平滑筋を収縮させる作用があり、分娩が促進され陣痛促進剤として用いられる。バゾプレッシンは腎臓の集合管での水の再吸収を促進する。その結果、尿量が減少するので抗利尿ホルモン(ADH)ともいわれる。
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