上肢の筋で正中神経が通り抜けるのはどれか (2013年 鍼灸 問題19)
1 × 回外筋:橈骨神経の深枝に貫通される。
この筋は、総指伸筋上部の深層に位置する幅広く短い筋である。上腕骨の外側上顆や尺骨上部の外側面から起こって、橈骨上部を外側から回り込むように下方に斜走し、橈骨上部の外側面に広く停止する。この筋は前腕を回外するが、さらに強く回外するときには、これに上腕二頭筋の回外作用が加わる。また、この筋は橈骨神経の深枝に貫通される。(p.248 回外筋)
2 ◯ 円回内筋:上腕頭と尺骨頭の間を正中神経が通る。
肘窩の内側縁を下行し、橈骨中央の外側面の粗面に停止する。名のとおり、この筋の作用は前腕を回内させる。この筋は内側上顆の起始(上腕頭)以外にも尺骨の鉤状突起(尺骨頭)に起始しており、両頭の間には正中神経が通る。(p.244 円回内筋)
3 × 烏口腕筋:筋皮神経に貫通される。
名前が示すように、肩甲骨の烏口突起から起こり、上腕骨体の内側に停止する筋である。筋の表面は上腕二頭筋の短頭におおわれる。肩関節を屈曲・内転するが、その機能的意義は小さい。上腕の屈筋群の中で最も筋腹が腋窩に近接しており、腋窩で腕神経叢から分かれた筋皮神経は、この筋を貫通して支配する。(p.239 筋皮神経)
4 × 母指内転筋:尺骨神経の深枝に貫通される。(p.261 図10–108 尺骨神経)【分担解剖学 1 p.364 母指球筋】
第3中手骨の掌側面から起こる横頭と、有頭骨から起始する斜頭からなる。これらの2頭は母指の基節骨につき母指を内転して手掌に近づける。ものを強く握る場合、この筋は長母指屈筋や母指対立筋と協力して強く作用するので、母指内転筋麻痺の際には握力が減弱する。この筋は尺骨神経の支配を受ける。(p.249 母指球筋)
正中神経は、上腕部では枝を出さず、前腕屈筋群と母指球筋に筋枝を送るほか、手掌の橈側半分の皮膚に皮枝を分布する。
上腕部では、上腕二頭筋の内側縁(内側二頭筋溝)を縦走し、上腕動脈とともに上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に至る。
肘窩では、円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通って深部に入り、尺側手根屈筋以外の前腕屈筋の浅層筋群に筋枝を出す。さらに正中神経の本幹は、浅指屈筋の起始部にある腱弓から深層に進入して、浅指屈筋と深指屈筋の間を走る。ここで、前腕屈筋の深層筋群に至る筋枝と手掌の橈側半への皮枝(手掌枝)を出しつつ手根部に達し、浅・深指屈筋の腱とともに手根管を通って手内に入る。
手内では母指球筋に分枝するほか、母指から薬指への皮枝を出す。(p.261 上肢前面の神経定行(筋皮神経・正中神経・尺骨神経))
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