上肢の動脈の経路について正しいのはどれか (2014年 鍼灸 問題24)
1 × 橈骨動脈は手根管を通る。
橈骨動脈は手根管を通らない。(p.256 図10–104 手根管)
- 手根管を通るもの
- 長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋・橈側手根屈筋と正中神経
橈側手根屈筋は屈筋支帯を貫いて途中から屈筋支帯の深層に潜る。鍼灸の第2回国家試験で手根管を通るものとして橈側手根屈筋が選択肢に出されたことがある。(第2回 鍼灸師 問題32)
- 長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋・橈側手根屈筋と正中神経
- 手根管を通らないもの
- 尺骨神経・尺骨動脈・・・屈筋支帯の浅層の尺骨神経管 (ギヨン管) を通る
- 長掌筋・・・屈筋支帯の浅層(上)を通る
問題の橈骨動脈だが、解剖学的嗅ぎたばこ入れを通り手背側(大菱形骨と第1中手骨の背側)へと回り深掌動脈弓へと移行する。(手根管と長掌筋腱・ギヨン管は手掌側、橈骨動脈は手背側)【この図がわかりやすい:プロメテウス運動器系 p.354 掌動脈弓の手根および指の腱鞘に対する関係)
2 × 腋窩動脈は外側腋窩隙を通る。
腋窩神経は外側腋窩隙を通る。(p.254 上枝の局所解剖 – 腋窩)
腋窩神経は三角筋や小円筋を支配するので、外側腋窩隙より表面に出て同筋へと分布する。(p.263 図10–110 腋窩神経と橈骨神経)
通路 | 通過する構造 |
---|---|
内側腋窩隙 | 肩甲回旋動脈 |
外側腋窩隙 | 後上腕回旋動脈と腋窩神経 |
三角筋裂孔 | 上腕深動脈と橈骨神経 |
鎖骨下動脈が第1肋骨外側縁を通り過ぎ、腋窩動脈に移行する。腋窩動脈は腋窩を通過し、腋窩の下縁(大胸筋の下縁)を過ぎて、上腕動脈へと移行する。(p.257~258 上枝の動脈)
3 ○ 上腕動脈は内側上腕二頭筋溝を通る。
筋と筋の聞には、線維性結合組織の筋膜が存在して筋を区分しているが、屈筋群と伸筋群の間のように対立する筋群の聞には、特に肥厚した筋膜の層が区画する。これを筋間中隔という。上腕部では、上腕骨体の内側縁および、外側縁に沿って内・外側上頼までの間で、発達して認められる(内側・外側上腕筋問中隔)。これらの筋問中隔は上肢の血管・正中神経・尺骨神経・橈骨神経を導く通路になる。
内側上腕筋問中隔の内側端は上腕二頭筋の内側縁に続き、内側二頭筋溝という。この溝に沿って正中神経と上腕動静脈が走る。また内側上腕筋間中隔の後方には尺骨神経が走る。外側上腕筋間中隔には橈骨神経が貫通する。
4 × 尺骨動脈は上腕骨内側上顆の後ろを通る。
尺骨神経は上腕骨内側上顆の後ろを通る。(p.262 尺骨神経)
上腕動脈は正中神経とともに内側二頭筋溝の下端で上腕二頭筋の停止腱膜の下をくぐって肘窩に入り、橈骨動脈と尺骨動脈に分かれる(p.258 上肢の動脈)
尺骨神経は上腕部では屈筋と伸筋の間にある内側上腕筋間中隔の後方を走り、そのまま上腕骨の内側上顆の後方を通る。内側上顆の後面には、尺骨神経が骨に接する部分に尺骨神経溝が生じる。体表から肘頭と内側上顆の間のくぼみを探ると、触れたときに不快感を覚えるコリッとした尺骨神経がわかる。(p.262 尺骨神経)
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