消化管においてアウエルバッハ神経叢があるのはどれか (2015年 あマ指 問題18)
1 × 粘膜上皮と粘膜筋板の間
2 × 粘膜筋板と輪走筋層の間 粘膜下神経叢 (マイスネル神経叢)
3 ○ 輪走筋層と縦走筋層の間 筋層間神経叢 (アウエルバッハ神経叢)
4 × 縦走筋層と漿膜の間
内膜 | 粘膜層 | ・粘膜上皮 ・粘膜固有層 ・粘膜筋板 ・粘膜下組織 – 粘膜下神経叢 (マイスネル神経叢) |
---|---|---|
中膜 | 筋層 | ・内層:輪筋層 – 筋層間神経叢 (アウエルバッハ神経叢) ・外層:縦筋層 |
外膜 | 漿膜 または 外膜 | 漿膜:単層扁平上皮 腹膜内臓器は漿膜に覆われる 外膜:結合組織性 |
生理学の記述
消化管の壁は各部位によって差はあるが、基本的には、内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜の順に配列する。筋層は内側の輪走筋、外側の縦走筋の2層の平滑筋層からなる。消化管の各部位には特徴的な運動が認められる。消化管の内側と外側の平滑筋層の間には、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)があり、粘膜下層と内側の平滑筋層の間には粘膜下神経叢(マイスネル神経叢)がある。これらを合わせて壁内神経叢と呼ぶ。壁内神経叢は特に小腸で発達しており、腸神経系ともいわれる。これらの神経叢は自律神経に支配されて、さまざまな調節を受けるが、神経叢内で壁内神経自体が局所的な反射弓を作って働くため、自律神経を切断しでも、消化管の基本的な運動は保たれる。(p.70 消化管の運動)
解剖学の記述
筋層は口腔から食道上部までは骨格筋で、食道下部から肛門までは平滑筋でつくられている。食道以下の消化管では内層の筋線維は輪走し(輪走筋)、外層の筋層は縦走する(縦走筋)。両筋層の収縮・弛緩により一定の運動(蠕動運動や分節運動など)を行うが、その運動は両筋層の間にあるアウエルバッハの神経叢(筋層間神経叢)により調節される。(p.71 消化管の基本構造 – 筋層)
解剖学の副交感神経系にも記述がある
副交感神経の節前ニューロンは、脳幹のいくつかの神経核と脊髄(仙髄)の側角に位置する。脳神経や骨盤内臓神経として中枢を出た節前ニューロンの線維は、支配する臓器の近くにある神経節、または臓器の中にある神経叢(アウエルバッハの神経叢など)で節後ニューロンに交代し平滑筋や分泌腺を支配する。(p.145 副交感神経系)
近年、脳神経III, VII, IXの副交感神経に付属する神経節 (毛様体神経節 III、翼口蓋神経節 VII、顎下神経節 VII、耳神経節 IX) がよく出題されるが、迷走神経 X の神経節というのはほとんど出題されない。迷走神経の副交感線維は胸腹部の臓器に広く分布し、節後ニューロンの細胞体は臓器のすぐちかくにある神経叢(心臓神経叢や腸管神経叢 (アウエルバッハ神経叢やマイスネル神経叢などの壁内神経叢)でニューロンを乗り換える。つまり、アウエルバッハ神経叢やマイスネル神経叢は自律神経節の役割もはたす神経叢ということになる。また、これらの壁内神経叢は自律神経の節前線維を切断したとしても、自己調節機能により消化吸収を完遂できる能力を備えている(腸脳)
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